モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集 [DVD]
ロンドンフィルとのCD盤でも美しい演奏を聴かせてくれたが、カメラータザルツブルクとの共演によるこのDVDはライヴならではの即興的閃きと、オケとの親密な音楽造りが映像を通じてとても楽しめる作品となっている。
ボウイングの美しさは見とれるほどだし、充分チャーミングな遊び心もある演奏なのに作為的なところはみじんもなく名歌手がアリアを歌っているかの如く変幻自在!カデンツでの胸のすくようなパッセージも見事!
映像、音楽的内容共に一華二華もある作品に仕上がっているのでBGMなんかにしても楽しめます。
CD盤にあった協奏交響曲がないのが残念。
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
これほど強烈なチャイコフスキーは久しぶりに聴きました。
第一楽章のお馴染みのメロディーから彼女特有の節回しが炸裂です。
実に奔放で美しい!メロディーを聴かせる演奏とはこのことです。
また、第2楽章は弱音器をつけたバイオリンの音が非常に繊細で、
しかし、ムターらしい太さが残る印象的な演奏。
コルンゴルトも実に素晴らしい。第一楽章のセクシーさには
肝を抜かれました。映画音楽のような甘ーいメロディーに溢れています。
ヴァイオリン名曲集
ムターとウィーンフィルの組み合わせ。最強のバックを得て、一層ムターの腕が冴えています。メジャーな小品なので多くの録音が世に出ていますが、この演奏は群を抜いて良いです。かなりのお気に入りです。
ヘルベルト・フォン・カラヤン写真集
確かに、この本に掲載されている写真の90%以上のものは、初めて見ました。
また、ムターや、キーシンの感動的な文章には感銘を受けました。
写真と共に、カラヤンの知らなかった面を見させてもらい、この巨匠への思いが深く、強くなりました。
ただ、残念なことに、モノクロ写真が中心で、明らかにカラーであるはずの写真もモノクロです。
カラー写真は、ごく僅かしかありません。
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集
ムターの演奏は、第2番が素晴らしいと思う。第1番も悪くないが、第1番は、彼女の持ち前である饒舌な表現があまり生きない作品だと思う。第2番は全楽章において、いかにもムターらしく、スコアにある音を、より際だたせようとするスタンスが生きていると思う。
第3番は、第1楽章ヴァイオリンソロによる第2主題前などで音楽を停滞させる「溜め」が鼻につく。
第4番は、音楽を楽しませながら、かつ、音楽を理解させてくれる演奏。自由に歌いながらも自然である。音に酔わされる。リスナーは、ついオーディオのヴォリュームを上げてしまうであろう。カデンツァはヨアヒムのを弾いているのも良い。この演奏に私は脱帽させられた。「さすがは14才でデビューした根っからのヴァイオリニストによる演奏だ」また「才女ムターの円熟はかくあるべし」と..。
第5番の第1楽章は「序奏アダージョ」におけるムター的ナルシズムが美しい。オケが室内楽的に響く(各パート1名で演奏させている)。32部音符のさざ波が美しい。第1楽章のヨアヒムによるカデンツァがよい。ただ、例の「ムター節」が「型にはまったように」聞こえてしまうのが傷(第1楽章)。第3楽章は、ストレートな演奏。しかも出だしの室内楽的にこざっぱりしたサウンドが、音楽に変化を持たせていてポイント高いと思う。
2005年録音。