シューベルト:さすらい人幻想曲
高橋アキによるシューベルト録音盤第3弾は、ピアノソナタ第17番ニ長調・さすらい人幻想曲という2大曲のカップリング。
高橋氏をご存知の方がまず彼女に連想するイメージが現代音楽ではないだろうか。私自身彼女の演奏に初めて接したCDが、
彼女のデビュー作にして現代曲のみで固められた名盤「高橋アキの世界」であった為、彼女が近年シューベルトの録音に取り
組み続けていることを知った際は正直驚いた。
彼女は現代曲演奏の名手として知られる。現代曲を演奏する際の特徴として、楽曲の性格上弾き手の主観を演奏に過度に滲ま
せることを好まず、楽譜に定められた作曲者の演奏指定を厳守することに重きが置かれる。彼女の演奏も楽曲を客観的に捉え
楽譜に忠実な形で歪みなく伝えるものだ。
楽曲に演奏者による独自の解釈を挟む際それがプラスに働く場合もあるが、逆に楽曲の素の姿を直に伝えた方がその魅力が
際立つ場合もある、個人的な意見だがシューベルトのピアノ曲は正にその性格を持つものだと考える。
彼のピアノ曲は技巧を誇示するための表現というものを好まず、飽くまで旋律そのものの美しさを飾り無く伝えようとする素朴さ
を感じる。楽曲の魅力を合せ鏡のように伝えるという意味で、高橋氏の演奏はシューベルトの楽曲と高い相性を見せている。
まず「天国的な長さ」を誇る彼の後期ピアノ・ソナタ群から17番ニ長調(村上春樹の小説「海辺のカフカ」に登場した「難しい曲」と
しても知られる)、とりとめがない程の長さに膨らんだ各楽章で、散文詩の如く次々現れては消える簡素な和声の美しさを大切に
した演奏。ソナタの終楽章は壮大な曲調という暗黙の了解を覆すような、慎ましくも愛らしい第4楽章が特に素晴らしい。
もう一つはさすらい人幻想曲、シューベルトのピアノ曲で最難曲として知られるが、過度に華やかな技巧を誇示しない創りがシュ
ーベルトらしい。高橋氏の演奏も大袈裟に表現を誇張することはしないが、それ故楽曲の良さが後からじんわり伝わる演奏だ。
全体に響きというものに気を配った演奏で、ペダルを多用しないことにより音を濁さないだけでなく、スタッカート表現での歯切れの
良さが押し出されている。
現代曲のスペシャリストである彼女の、シューベルト作品に対しての意外な程の相性の高さを伝える好盤だと思う。
ザ・ベスト・オブ・サティ
見事な1枚である。サティの番組(下記)をみて、その芸術を語った高橋アキの演奏を聴く。単純そうに響く音楽の背後に大きな心象風景がひろがるが、それを言葉で表現することは難しい。その不可解さやもどかしさがこの演奏からすなおに伝わってくる。言い知れぬやるせなさをここまで表現できるのは、演奏者と作曲家が心の深奥でしっかりとつながっているからではないかと感じさせる。純結晶の美しさとでも言うべき演奏である。
(参考)
「癒しのメロディ エリック・サティの世界」BS朝日からの紹介文
エリック・アルフレッド・レスリ・サティ(1866年〜1925年)フランスの作曲家。
「音楽界の異端児」「音楽界の変わり者」などと称されるが、西洋音楽の伝統に大きなくさびを打ち込んだ革新者とみなされている。印象主義の大作曲家たち、ドビュッシーもラヴェルも、その多くの作曲技法はサティによって学んだと公言している。西洋音楽史上、もっとも重要な人物の一人。
パリ音楽院在学中にピアノ小品「ジムノペディ」「グノシェンヌ」などを発表。芸術酒場「黒猫」に集う芸術家の一人となり、コクトーやピカソらと交流。同じメロディーを840回繰り返す手法を用いた「ヴァクサシオン」、現代の環境音楽の原点ともいうべき「家具の音楽」なども書いた。また「官僚的なソナチネ」「犬のためぶよぶよとした前奏曲」「冷たい小品」「梨の形をした3つの小品」「干からびた胎児」といったように、作品に奇妙な題名をつけたことでも知られている。
私生活では音楽学校を喧嘩してやめるほど、気難しく人づきあいが苦手だった。
アパートに引きこもり宗教家を目指した時代もあったが、39歳で一念発起、音楽学校に入り作曲法の理論を学び直した。ジャン・コクトーやピカソとコラボレーションをした革新的な舞台「パラード」は、スキャンダルな事件とも言われた。享年60歳。
高橋アキ plays 武満
武満徹に興味を持った方にとってはとてもお得なCDです。武満の前衛的な作品から、編曲物まですべてを聞くことができます。高橋アキの演奏は、大変洗練されたものです。
一曲目の”閉じた目”、遮られない休息、雨の樹素描は現代ピアノ曲のなかでも特に美しい作品です。響きの美しさの深度は大変深いもので、武満の感性の素敵さを感じます。また楽譜も美しいものなので、眺めながら聴いてみるのも楽しく、自分で演奏する上でも最良の手本のひとつであると思います。
現代音楽を聴くひとにとっては間違いなく☆5つですが、前衛風な曲に限っていえばまだまだ普遍性を得るのは難しく、万人にはお薦めできないので、現代曲を聴かない方は☆2つぐらいでしょうね。
モーニング娘。コンサートツアー2011秋 愛 BELIEVE ~高橋愛 卒業記念スペシャル~ [DVD]
高橋愛のダンスと歌唱力に圧倒されました、愛ちゃんが居なくなるのはとても寂しいが、後輩にも頑張ってほしい。
ハンカチ刺繍―小さなステッチをほどこして、特別な一枚を作る
美しく繊細な花、
気軽だけどおしゃれなもの、
洗練されたかわいい小さなクロスステッチなど、
バラエティに富んで、初心者も通の方も使える本です。
かわいらしいけど大人も納得して使える素敵な刺繍。四季のモチーフも楽しめます。
和光などの既製品の刺繍ハンカチの写真も、ものすごくきれいですし
ハンカチワールドの歴史や楽しみも、専門書ほどではないけれど楽しめます。
けれど、せっかくなら土台となるハンカチそのものの作り方を詳しく載せてほしかったです。
市販のものに刺繍、とありますが、
実際に探しにお店を回ると、プリントだらけだったり、
リネンの無地でも縫製が雑だったり、
タテヨコの織り目の比率が違ってクロスステッチが狂っちゃったり、
色が選べなかったり、
すでに刺繍がなされていたりと、
刺すのに感じのいいハンカチってあんまり見当たらないもので・・
どこで写真のようなものが買えるの??手に入らないので作りたいのです。
刺繍の裏側の始末の詳しい指導やアップの写真もほしいです。
今のところ殆どハンカチ以外に刺繍しています。
でも満足度は高いです。
それぞれ個性がはっきりした
とっても素敵な3人の作家さんのアトリエでの記事がすごく参考になります。