証言 細野豪志 「原発危機500日」の真実に鳥越俊太郎が迫る
この本の企画は、ジャーナリストの鳥越俊太郎から持ちかけられたものではなく、細野豪志衆議院議員から持ちかけけられたものだという。
何故、多くのジャーナリストがいる中で、鳥越俊太郎氏なのか。この疑問について、「まえがき」で、鳥越氏は、細野氏に問いかけているが、結局、理由は述べない。「迷ったんですよ。」と言うのみである。
さて、東日本大震災の福島原発事故直後の官邸、東京電力での対応について、本書では、たぶん、嘘偽りなく、述べていると思う。私は、正直、東日本大震災の福島原発事故後の政府・東京電力の対応について書かれたメディア側のルポルタージュ等をほとんど読んでいないので、正否の判断はできなかった。
もし、昨年の東日本大震災の福島原発事故のメディア側からのルポを読んでいるなら、その内容と合致しているか否かを確かめてみるのも良いかもしれない。
特に、本書の最後の大飯原発の再稼働、今後のエネルギー政策などについては、なかなか興味深かった。
大飯原発の再稼働については、大前研一氏の検証、また、サード・オピニオンを確認して、決定した等の発言が特に興味を引いた。
また、「日本は、世界のなかでは非常に珍しいんですが、原子力をはじめとしたエネルギー問題が安全保障から切り離されて論じられています。」との細野氏の発言も気になったところです。
本書は、細野氏の政治家としての宣伝という趣きはそれほどしなかった。
「政治家として歴史の法定に立つ」覚悟という言葉(中曽根元首相の言葉)が心に残る。
パラシューター―国会をめざした落下傘候補、疾風怒涛の全記録
33歳?すげ―若い議員だなと思って、しかも彼がタイトルのとおり落下傘候補として選挙に通ったことを知り、本書を手にとった。
細野氏は自らの選挙期間中の出来事を決して劇的なドラマとして誇張したり、感傷をみせたりせずに(むしろ世話になった人を配慮して、そうした部分を殺ぎ落としているようにみえる)、むしろ淡々と、かつ手探りの経験談としてつづっている。とても爽やかで、それでいて応援したくなる。こんな爽やかな選挙があるものなのか?とも思わせる。本人は映画「スミス氏ワシントンに行く」のスミス氏のようなキャラクターなのかも。今後の活躍を期待。「あとがき」にも心を打たれた。
原発危機 官邸からの証言 (ちくま新書)
東京電力という会社がどのようなものかは、この1年半の原発事故への対応や広報をとうして、国民に明らかになりました。
しかし、事故当時、災害の拡大防止に血眼になっている政府に対して、これほど非協力的とは・・。
もちろん官邸の当事者によるバイアスはあるにしても、ここに書かれている事実は、福山氏のメモに基づいており信憑性があります。
政府当局者から見た東電の実態が詳細に明らにされています。
広島原爆の何万発分の核物質をこのような会社に任せていたとは恐ろしいことです。