天城越え [DVD]
天城峠を一緒に越える道を、共に歩くことになった女と少年。少年は、親への反抗のための家出。女は足抜け(逃げ出した)した娼婦。この少年が、美しく妖艶な女に思慕の情を寄せる。いわば初恋。
女がふとした仕草でみせるうなじとおくれ毛、着物の裾からちらりと見える白い脚。官能的である。この女を演じたのは、田中裕子。彼女は迫真の演技で、女の儚さとしたたかさを見事に見せた。彼女を慕う少年の子役の演技も素晴らしい。
天城の夏の光に照らされた緑の美しさ、トンネルの中の漆黒の闇との対比の映像美も美しい。
この峠で殺人事件がおこる。そこから始まる悲劇。
NHKのドラマ版の「天城越え」では、女が大谷直子、少年が鶴見慎吾、その少年の晩年を演じたのは宇野重吉で、このドラマも圧倒的に素晴らしかった。
黒い画集 (新潮文庫)
高校生の時読みました。衝撃の一冊でした。今もその衝撃は忘れられません。推理小説と言うイメージは私にはなく、なぜ殺したのか、その主人公の心理描写に引き込まれました。誰にでも起こり得る日常の中での出来事だからこそ、将来自分の身の上にも起こりそうで怖かったのだと思います。人の心より恐ろしいものはない、そう知った小説です。短編集ですので、高校生の私にも読みやすく、松本清張さんと言えば、私はこの黒い画集が断然お勧めです。
見開きのページに、松本清張さんの小説はどれも、実際にあった現実の事件をもとに書かれたノンフィクションに近いフィクションです、と説明書きがあり、高校生だった私には、世の中、こんな事が現実にあるのか、と恐ろしく、読んだ日は興奮で寝付けませんでした。衝撃の順番ですが、私は「坂道の家」「遭難」「天城越え」」「証言」の順番です。
「坂道の家」は、真面目一筋に生きてきた初老の男性が、たまたま店に訪れた一人の若い女性に溺れ、あっと言う間に人生のすべてを失う話です。高校生の私にはかなり衝撃でした。いかりや長介さん、黒木瞳さん主演のテレビドラマも見ました。
「遭難」は、自然現象を利用した完全犯罪の話です。他人から見て許せる事でも、自分にはどうしても許せないと思う事があるものです。人の心は誰も(自分でさえも)どうすることもできない、そんな恐ろしさを描いた作品です。
「天城越え」は、何度も映画化されている名作です。娼婦、土工、少年の3人が、ある日天城峠で出会い事件は起こります。少年の純粋な恋心が胸につきささります。
「証言」は、1つの嘘を隠す為に次々と嘘を重ね身を滅ぼしてゆくサラリーマンの話。最後は恐ろしい結末に。
天城越え [DVD]
天城とは伊豆に在る。映画中、山の中のシーンが多い。雨のシーンが多く、山中の暗さとあいまって、全体に陰鬱な雰囲気が漂う映画だ。一方で、晴れのシーンや夕日のシーンなど、メリハリの着いた自然描写が光る。
しかしながら、話の展開が遠回りだ。ゆっくり落ち着いて見る分には良いが、これがサスペンスなのかと焦らされる。訳者の演技は素晴らしく、とりわけ田中裕子は素晴らしい。冤罪に激しい抵抗をすることなく獄中で息を引き取る者がある一方で罪に時効は無いとして正義への追求と共に老いる刑事。主人公が思いを口にしないのは相応の痛手を負っているためか。佳作だ。
石川さゆり ベスト&ベスト 津軽海峡・冬景色~天城越え PBB33
つい最近、BSでコンサートが放映されているのを見てすごく素敵だと思い購入しましたが、CDの歌声はあまりに若すぎて別人かと思うほどでした。
悪くは全然ないですけど、今度は最近の歌声を収めた物が欲しいです。