ドビュッシー / ラヴェル [DVD]
入念なリハーサルを重ねてきて、楽団もチェリビダッケの要求が体に染み付いた状態になっているようですね。非常にクオリティが高いです。
また観客も、時折天井を見上げたり目をつぶったりしてこちらもまた指揮者の求める音を感じ取ろうという心構えが出来ているように見えます。
オーケストラを上から見下ろすようなアングルで映し出されている映像を見ると、指揮者はいつもこのような視点でオーケストラを見下ろしながら指揮をしているのだろうと思わずにいられません。演奏効果がよく計算された美しい演奏だと思います。
ラヴェル
ラヴェルといえば、「ボレロ」の作曲者。その晩年を描いた小説。
エシュノーズといえば、「マレーシアの冒険」といい「われら三人」といい、ちょっとコメディタッチのところもある作家だと思っていた。でも、この作品はむしろ、初期の「チェロキー」のような、音楽的な作品。
「ピアノ・ソロ」もコメディだったけれども、そこでは主人公は死後の世界を通っていく。そうなると、死に対して悲壮感なんてない。ないまま、晩年のラヴェルである。
この小説が美しいのは、老いた(といっても、まだ50代なのだけれども)ラヴェルが、死を前にして、なおゆっくりと生き、衰えていくということだ。それは、人生の結末に向けて進む、音楽の最終楽章という趣である。徹底した現在形による語りが、こうした感触を支えている。そこでなお、出会いも創作意欲もある。そうして、段々と何もできなくなっていく。
「チェロキー」のときは、そのジャズの香りの中に、どうしても入っていけなかった記憶がある。今もって、エシュノーズの作品の中でも苦手な作品なのだけれども。その点、「ラヴェル」は、短くまとまっているし、成熟した語りによってぼくはすんなりとその中に入っていけた。コメディ以外のエシュノーズも、悪くない。
いや、これもコメディなのかもしれない、とも少し思うけれど。人生なんて、たかだか1つの演奏でしかない、という。
ラヴェル全集 1 (世界音楽全集)
批判の多いサラヴェール版に対するアンチテーゼとして、校訂者が使命感を持って作り上げたことが伝わってくる素晴らしい楽譜です。
・大き目の音符フォントを使った印刷。1ページに小節を詰め込んでいないので譜読みしやすい。
・解説、注釈、校訂報告、どれも非常に充実していて、読んでいるだけで勉強になる。
・難しいフレーズは、曲調に影響しない範囲での改変アイディア付き。
「道化師の朝の歌」の重音グリッサンドの改変アイディアなど参考になる人も多いはず。
・選曲、価格、内容の充実度、譜読みのしやすさ等、すべての面で「ラヴェルを弾くならこの楽譜がいい」と断言できます。
ラヴェル:ピアノ名曲集 1
Tombeau de Couperin の Toccata を聴くために購入しました。この曲はコンクールで小学6年生から中学1年生くらいがよく弾いてますね。今回 Francois と Perlemuter, Giesking, Gilelsの演奏を聴きました。御存知のように Perlemuter は Ravel の弟子なので、演奏には Ravel 自身の解釈が反映されているでしょうから、ここのメロディを Ravel はこういう風に聴かせたかったのかなと思いつつ、興味深く聴くことができましたが私個人としては違和感のある演奏でした。Giesking はとてもスタンダードな演奏で華が無く、上手な中学生の演奏と大きな差を見つけることは私には出来ませんでしたが、生で聴けば印象は違ったかも知れません。Gilels は和音の響かせ方やメロディの歌わせ方がベートーベンっぽい印象でした。Francois は導入部から和音のどの指の音を強く弾くかなど同じ和音でも変化をつけて来たりします。ペダルの踏みかたは他の演奏者より浅いので音色は全体にクリアです。陽射しがきらきら輝く海で少しもぐったり顔を出したりしているような情景が、ペダルの変化によって目に浮かんできます。メロディに流されすぎないリズムのとりかたが気持良く、コーダに向けてわざと少し歯がゆいようなテンポから一挙に持って行くところは爽快です。リマスタリングの技術もかなり進んだようで、ヘッドホンで聴いていますがストレスはほとんど感じませんでした。この録音のあと、他にCDで弾いている有名なピアニストがほとんどいないように見えるのは、やはり決定的な演奏だったという証拠だと思います。そういう意味ではRichter の Matthaus Passion のようなものと言えるのではないでしょうか。
ラヴェル作品集 [DVD]
コンチェルトはバーンスタインの弾き振りです。
あー、こんな映像があったなんて!
オケはフランス国立管弦楽団。昔のフランスのオケらしい音色。
ラヴェルの色をあますところなく表現するバーンスタインのピアノと指揮。
音楽が、ある1つの「場」でほとばしるように生れる様子をそのまま捉えた映像・・。
私、日頃は、バッハ:ブラームス:フォーレ:マーラーを3対1対1対1ぐらいの割合でくるくるまわって聴いているのですが、ラヴェルが聴きたいときもあります。
ラヴェルが聴きたいときはラヴェルでなくてはなりません。
そんなときに、このディスク1枚あれば十分じゃないか!?と思わせるものがあります。
ちなみにツィガーヌのヴァイオリンはボリス・ベルキン、シェエラザードのメゾはマリリン・ホーンです。
ラヴェルを聴くと、サックスなんかも良いなぁ・・と思うのですが(私はアマチュアチェロ弾きなので、まぁ一番好きな楽器はやっぱりチェロなんですが)、ここで吹いておられるサックス吹きは「かのデファイエ!」さんだそうです。(←伝聞)