千年樹 (集英社文庫)
荻原浩の作品にははずれが無い。
今まで沢山読んできたけど、一度も外れたことはない。
本作は連作短編小説となっているが、それぞれの作品は微妙に繋がっている。
そして短編は過去と現代が表裏一体となるエピソードになっていて、それぞれの物語は悲しくもあり切なくもあり。
個人的には『バァバの石段』が一番好きだ。目頭が熱くなるお話だ。
読んでいて、あれ?これ・・どこかで読んだことがある・・・記憶をまさぐっていたら、そうだ!息子の高校受験の過去問題集に載っていた話だ!
過去問を問いでいた息子が、これちょっといい話だ、泣けるよ、というので冒頭のところだけが掲載されていたのを読んだのだった。
短い話の中に、バァバの愛がいっぱい詰まったいいお話だった。
樹齢の長い木にはきっと精霊が宿っているはず・・
アテネオリンピック 日本代表選手 活躍の軌跡 [DVD]
アテネオリンピックの後見事にハマってしまった体操。今日も演技会に行ってきました。私の好きな柔道も今年は大活躍でした。他にも予想もしていなかった競技や選手が大活躍。まるで日本で開催されている様な気がしてしまいました。値段は少し高くつくけど、9時間収録+フォトブック付きでこの値段なら大満足です。この商品は見送ろうと思っていましたが、今日の演技会の後、絶対に買おうと決めました。これを観て4年後も楽しみにしましょう!
海へ~現代日本フルート音楽の諸相
無伴奏フルートの分野では、セバスチャンとエマニエル、バッハ親子のイ短調の作品(パルティータ、ソナタ)がダントツの最高傑作である。
バロックでは、テレマンの12のファンタジーもこれらに次ぐ見逃せない傑作だ。
その後(古典/ロマン派)の時代には、技巧の修練を目的にしたエチュード的な作品群(クーラウ、ベーム、アンデルセンなど)があるが、フルートを演奏しない人にとって重要であるような、繰り返し鑑賞に堪える程印象的な作品は、殆どない。
近代になって、ドビュッシー、オネゲル、イベールといった人たちが名曲を書き、演奏会やレコードの常連レパートリーとなった。
現代でも、ニコレによってアンチシリンクスと言われたヴァレーズのデンシティ、ベリオのセクエンツァといった曲が書かれ、(フルート)愛好家達に人気を博している。
しかし、バッハ以降、いずれも曲は短く小品に近い、あるいは現代以降の曲は、耳に痛く、キビシく、一回の演奏会で集中するにはいいが、CDで連続して繰り返しに聞くようなものはなかった。曲を好きになって(なろうとして)、何度か聴くと、疲れるか、飽きるかで、聴き続けられなかった。
武満の遺作(1996年、ニコレの70歳の誕生パーティにあわせて作曲)、”エア”も同様であった。ただ、刺激的な音はなく、先鋭的な前衛音楽とは違い、何か親しみが持てそうな曲だった。
そして、高木綾子のCD”青の余白”(2001)でこの曲を聴き、そのゆったりしたテンポの演奏に触れて、繰り返し聞ける好きな曲になった。まさに、目を開いてくれた、驚嘆すべき演奏である。
ここでは、武満が最も信頼していたフルート奏者、小泉浩の演奏が収められている(1996年11月)。エアの作曲に際しても、電話でアドバイスを求められたのは彼なのである。演奏時間は、高木より1分20秒、献呈されたニコレの演奏より3分18秒も長い。つまり、作曲者の指示したテンポに比して究極の遅さで、曲のイメージを一新しているのだ。その結果、まさにバッハに並ぶ、いや、それ以上の音楽史上最高の作品が生まれた、と確信した。この演奏で、何度も、この曲を聴いてみて欲しい。何度もリピートで聴き続けられる無伴奏フルート曲(とその演奏)が、これまでにあっただろうか?ここまで癒し続けられる曲があっただろうか?現代曲と思えない、癒しの世界が広がっている。
アルトフルートとギターのための”海へ”も、アルトフルートの曲の最高傑作であろう。ただ、私は、ハープとのために編曲された”海へ''III”の方が好ましく、小泉浩の吹くアンサンブルタケミツのCDの演奏の方がより魅力的であるようだ。
オロロ畑でつかまえて (集英社文庫)
萩原浩氏のデビュー作にしてすばる新人賞受賞作!!
作家として華々しいスタートを切ることになったこの作品は決して裏切りません!!!
まず話の展開がとてもうまい・・・どんどん吸い込まれていく感じです。
訛りがあるのも根からの東京人である私にとってとっても新鮮に感じる。
真にユーモアのある作品に出会えて本当に良かったと心から思える本です。