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なるたる(12) (アフタヌーンKC)
とにかく至る場面で人の汚なさが描かれていて、読んでいて目を背けたくなるのですが、
その後ろめたさこそ筆者が感じていたこと、表現したかったことなのかもしれません。
登場人物の多くに、歪んだ面がありながらその一方でより正当であろうとする心持ちが見られます。
これはそういった人たちが中心に充てられた物語です。
デフォルメされた人に投影されている元の人格が狭い範囲のものなので、
これらを人の全体とするのは釈然としない部分もあるかと思います。
ただ、そういったことを含めていろいろ思いを巡らせるきっかけになるのであれば、
これはよい物語だと思います。
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なるたる(1) [DVD]
まず前置きすると、鬱耐性がない人には勧められません。カタルシスを期待できる作品ではありません。
小学生という、常識的には無垢とされる年頃の登場人物を中心としてストーリーが展開しますが、そこでは人間の表と裏、弱さ、汚さといった負の側面が容赦なく描かれます。
しかし、この作品を単なる妄想と片づけられるでしょうか?自分の少年少女時代を振り返ってみれば、ここで描かれた生々しい心理描写が実にリアルなものであることを認めざるを得ないのではないかと思います。
“ホシ丸”とは何か。次回予告の「最後まで頑張る」というシイナのセリフはどういう意味なのか。最後まで見れば自分なりの答えが見つかるのではないでしょうか。
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キッズステーション アニメ「なるたる」サウンドトラック
『なるたる』というSFファンタジーアニメを知ってる人には待ちに待ったCD。 まったく知らない方には仮想空間を旅する時のBGMに必携の1枚。 元気印のテーマソングや独特の世界観を持った全30曲の音楽達に、きっと魅了されますよ。
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なるたる(1) (アフタヌーンKC (186))
この漫画、どのジャンルに入るんでしょうか
アクション? SF? サスペンス?
私が感じるのは、「恐怖」なんです
思春期になるかならないかの少年少女が、大人(権力)が
どうがんばっても太刀打ちできないほどの ちから(武器・龍の子)
を「ふと」持ってしまいます。
その力をある少女は、自由時間さえくれない両親へ
いじめをしていた同姓のクラスメートに使ってしまいます。
またある少年は、「人を殺める」ことの快感におぼれていきます
子供(?)ゆえに「使ってみたい」「どうなるか見てみたい」
「使ったらどうにかなるかも」無垢なるがゆえ
「そんなこと 簡単よ」とちから を使ってしまい
「どうしようもなくなった恐怖(後悔)」が
繊細な線で書かれた登場人物に降り注ぐ
読んでいる方も内臓に冷たい塊を覚えます。
「復讐」「快感」「大人の道理」「子供の思い」
「加害者にも被害者にもならない立場」
感じるところは多々あります。
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なるたる 全12巻 完結コミックセット(アフタヌーンKC )
私は同作者の作品『ぼくらの』のアニメから入り、『ぼくらの』の漫画、この漫画、の流れで読みました。
ネットで調べるとこの作品は一度入手困難になった作品で、今では再版して普通に入手できるらしいが、
あちこちの書店を回ってみたもののどこにも売っておらず、amazonでこの全巻セットを見つけて即買いしてしまいました。
読んでみての個人的感想としては面白かった。
内容は、漫画として邪道と言われればそれまでですが、
未知の力を得た少年少女の【葛藤】が主で、精神的なエグさに耐えられない方にはおすすめできかねます。
漫画をつらーっと読んだ後の各巻のあとがきが、この漫画の主張を短い言葉で核心を突いてくれているので、
立ち読みできる機会があれば、あとがきだけでも読んでみてください。
読んで興味を持てたなら、買ってじっくり読むのもいいかもしれません。
絵は、みんな大好き少年誌みたいなきれい、かっこいいとは違いますが、
登場人物の表情から心境の変動が読み取りやすく、主人公やその周囲の人々の性格や葛藤が生々しく感じることができます。
一部グロいシーンもありますので、閲覧の際はご注意ください。