羊の歌―わが回想 (岩波新書 青版 689)
「なるほど加藤周一さんはこうゆう人か」というのがわかる本です。自らの生い立ちを語ることによって、ご自分の考え方がどう形成されてきたのかがよく読み取れるように書かれてありました。
読書術 (岩波現代文庫)
いろいろな読書術が載っている。
速読、精読は当然として、読まずに済ます術、外国語の本を読む術、雑誌を読む術、難しい本を読破する術などなど。
読まずに済ますなんていうのは「読書じゃないじゃん」とも思うが、これがなかなか面白い。
アマゾンのようにネットの書評が増えているので、ますますこの術は応用できそうだ。
難しい本の読破術で、難しい本が読めないのはあなたのせいではない、と書いてあるのは凡人にはうれしい。
書いている側が下手だ、ともすると書き手がわかっていない、というのは、ソーカル事件で暴露されたものでもあるけど、昔からそういう本は多いんだな、と思わされる。
本を読む場所は、机でなくてもいい、とばっさり。
速読と精読はお互いに必要な関係同士というのもなるほど。
本を読む前に是非。
しかし それだけではない。/加藤周一 幽霊と語る [DVD]
本当に頭の良い人は、難しい事を難しく言わない、加藤周一さんの語りを聴いて、しみじみそう思いました。
加藤周一さんと言えば、必ずと言ってよいほど評論文が入試で採用され、その難解さに閉口した記憶があります。
この映画を観る前は、話について行けるか心配していましたが、それは杞憂でした。加藤周一さんの話し言葉は、とても分かりやすいです。そしてその主張には、必ず反論できないごもっともな理由付けが用意されてます。
なぜ戦争はいけないか。それは戦争で一時富を得たとしても、死ぬとき望むことが家族の将来だからだ。自分の人生の最後の一瞬に、戦争を望むひとは誰もいないからだ。これを言われたら、誰も反論できないと思いました。
自ら戦争を経験し、そして世界を渡り歩き、日本を客観的に評価できる彼の言葉を埋没させてはいけないと思いました。
日本 その心とかたち 加藤周一 [DVD]
・・・苦節17年?!
というのは大げさですが、
ついに!!
「日本 その心とかたち」DVD7巻セットが発売。
加藤周一さんが解説者として出演している、
日本の美術史をまとめたNHK教育テレビ番組
(1987年11月〜1988年3月オンエア)のDVDです。
加藤周一さんをあまりご存知ない方には、
ジブリの高畑勲・宮崎駿両監督が、過去に大きな興味を持って視聴し、
深い感銘を受けたという価値ある映像を「ジブリ学術ライブラリー」
シリーズとして復刊されたものの第4弾になります。
高畑勲・宮崎駿の両監督には本当に感謝、感謝です。
お二人にDVD化していただけなければ、
もう見ることができなかったか・・と思うと、ありがたい気持ちでいっぱいです。
早速、第1集「はじめに形ありき」を見る。
日本の縄文時代に作られた「火焔型土器」の
世界史から見た位置づけを考察するにあたって、
縄文時代と同じ新石器時代における最も洗練された文化を持った
マヤの地に、加藤氏は立つ。
そこで・・・、
「メキシコの
ことに、マヤの
ことに、ウシュマールの
ことに、尼僧院の
ことに、東側の建物の
いま私が見ているこの建物は、おそらく人類の建築史上、
最高傑作の一つ・・・」
と、畳みかけるような言葉が
一編の詩を聞いているかのごとく
伝わってきます。
また、その論理展開は・・
歴史にもしもはないが、
このメキシコのマヤのウシュマールの世界で最も美しい建築物を前にすると、
「火焔型土器」のような独自の美しい道具を作り上げた日本の縄文文化をみると、
もし大陸からの圧倒的な影響が弥生時代に入ってこなければ、
縄文文化がどこまで行き着いたかではないけれど、
どこまで行き着いたであろうかを示唆している、
と語る。
これが、
加藤周一の言葉であり、
論理であり
文章だったんだ、
と改めて思いました。
・・以上のようなぐらい思い入れがないと、
なかなか買えないお値段だ、と思ってもいます。
普及版のような形で出していただけないかな?!
エンジェル・ティアーズ
山本容子さんが選んだ鎮魂歌集です。
鎮魂歌というと、死者の魂を慰めるイメージがしますが、
透き通った歌声には、生きている者の魂が深くいやされます。
私は山本容子さんの銅版画の本とセットになったものを購入しました。
悲しみ続ける、ずっと泣き続けるっていうのは案外に難しいから、
自分で悲しむ力も無いくらいつかれているときには、
あえて悲しい唄をきいて、悲しさを発散させることができるような。。。
そんなアルバムでした。