たぶん、現在の日本でサザンロックのダイナミズムを体現している唯一のバンドだろう。今にも歪みそうな豪快なベースといい、泣きもカッティングも自在なギターといい、とても20代の日本人の演奏とは思えないカッコ良さだ。 歌も世のサザンロックバンドの王道を行く泥臭くネバッこいスタイルを巧みに継承。歌詞が薄味でユニコーンの二番煎じみたいなところもあるが、メロディーの中に言葉を押し込みにくい膠着語の言語特性を踏まえれば、致し方なかろう。 田中真紀子女史が愛聴していたそうで、第1期小泉内閣の頃は本人たちも「自民党公認バンド」と勝手に称していた。シングル化された「波の花」は、風通しの良いサザンロックのフォーマットに歌謡曲の伝統をぶつけた日本人らしい(というか、日本人にしか作れない)名曲だ。 ヒップホップやメロウなR&Bに日本語を乗せることに躍起な国内の音楽シーンは、チェンバロのような実力派をさほど求めていないようだが、個人的には本作がメジャーレーベルから発表された揺るぎない事実を評価したい。
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