四次元超立方体、メビウスの帯、特殊相対性理論、クラインの壺、位相幾何学、確率論、フェルマーの定理。人類の財産ともいえる、これら数学基礎論的テーマを小説にしたらどうなるの? という疑問に答えてしまう異色アンソロジーだ。 SF小説やポストモダン小説で、数学理論が比喩的に使われることはよくある。だが、ここに収録された短編小説たちはどれも数学の方が主役だ。数学理論が理念モデルとして証明されても、それがすなわち実世界に必ず当てはまるとは限らない。そのことを逆手にとり、もし実際に存在してしまったら? という小説的な想像の力でこの本は構築されている。さらに、どの短編も戦前に書かれたものだというのだから驚きだ。数学をモチーフにするという魅力は、今のところまったく衰!!えることを知らないようだ。
日本社会を夫婦で評論している対談集。 三浦、曽野夫妻はすごい。 教養、知性を背景に大衆化してみにくくなった日本社会を語っている。 彼らにすれば、 ものすごく嘆かわしい我が国の現状だろうに、 理性的に論じている。 りっぱな大人だと思う。 教育、夫婦、労働、老後などテーマは多彩だが、 すべての価値判断は道徳である。 その点で珍しい1冊だし、 お二人の姿勢に感動する。 曽野綾子は20年以上前から言っていることが変わらないのがすごい。
ちなみに対談では、 曾野綾子が三浦朱門の2倍はしゃべっている。 曾野綾子の夫というポジションが、 どんなものか分かったような気がした。 三浦朱門はすごい。
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