元スウェードのフロントマン、ブレット・アンダーソンのソロアルバム第二弾。
私は、ソロ1作目を、地味ながらも誠実さを感じられてとても好きだったが、 この第二弾はさらに輪をかけて地味になっている。 私は彼が、彼の生真面目さが、誠実さが心の底から好きであるが、今、単純に心配している。あまりにも地味すぎる。彼は、レコードを売る気があるのだろうか。 おそらく、私のようなコアなファンは買うだろうが・・・。
ヴォーカリストとしての魅力は、依然として健在だ。ほぼラヴソングだが、言葉の選び方に、一種の深みが感じられて、歌詞はスウェード後期よりも格段に良くなってもいる。 ただ、シンプル過ぎる表現は、その表現者の音楽的才能を露骨に表す。 (ベックの「シーチェンジ」や、ブライト・アイズの「アイム・ワイド・アウェイク〜」が近年ではその極北かもしれない。) ようするに、彼の志向に、作曲能力がついて行っていない気がするのである。
ただ「back to you」など、悪くない曲はある。 また、BGMとしては長く聴けそうな気もする。 アルバム自体短いのでくり返し聴く気になる。 ジャケットも好き。 ということで星三つ。
クセのあるボーカルでデガダンワールドを描いてみせるスエードのボーカリスト初ソロ。ロックというよりSSW、弾き語り的アプローチが新境地。ジェフ・バックリー、ルー・リードなどに通じる感じで聴かせる。
前作に続き、レオ・エイブラハムズとの共作によるソロ四作目です。
「今作はむき出しの情熱によるロック」とのブレットの言の通り、前作とはカラーが異なっていますが
共作者が同じということもあり、土台の部分には共通点が感じられます。
前作スロー・アタックがエレガントな中に鋭くとがったモノを時に内包している作品だったのに、
今作はドラムの激しさで激情を表現しつつ、ヴォーカル部分は意外なほど落ち着いています。
全体的な完成度は高く、個人的にはスロー・アタックよりは落ちると思いますが、僅差です。
ソロ三作目で方向性を見出して、四作目で世界観をほぼ確立したという意味では、
今のブレットからモリッシーのユア・アーセナル〜ヴォックスオール・アンド・アイの流れを思い出しました。
しかし、もう一つパンチが欲しいのも事実です。
「むき出しの情熱のロック」のはずなのに、時々ひどく落ち着いて聞こえる音に不安を覚える瞬間もあります。
ライブ版ではActorsが好きだったので、スタジオ版でどう化けるかと期待していたら、
案外ヘボかったことにも落胆です。
ブレットが「ロック」をしようとする限り、やはりここにバーナード・バトラー的存在の不在を思い出してしまいます。
初期Suedeの曲が下世話寸前で転換し、昇華した音だとすれば、Actorsは下世話な方向に落ち込んだ音になっていました。
楽曲群の完成度自体は、繰り返しますが、高いです。
欠けているのははっきり、アクのあるギターサウンドだけです。
そういう意味では非常に惜しいアルバムです。
スローアタックが良かったのは、ギターを必要としないアルバムだったからなのかもしれません。
そしてそれが今のブレットの課題のようにも思えます。
この「何かが足りない感」を例えるなら、Jamesを好きな人がTim BoothのBonesかBooth & The Bad Angelを聞いたときの
感覚が近いように思います。
売れなかったみたいですねえ・・・
1曲目のHymnからして大傑作なんですが。
Suede時代の毒は消えてしまいましたが、この曲の澄み切った印象はデヴィッド・ボウイのSpeed of lifeに匹敵します。
また、アルバムを通して聞いて、疲れない。
聞き終えて、もう一度聞こうと思わせる。
最近珍しいタイプのアルバムだと思いました。
全曲素晴らしいのですが、何度も通して聞いた結果SummerとHunted、それにAshes of usは中でも傑出しています。
Suedeが好きな人より、むしろSuedeを知らない人にこそ聞いて欲しい。
詩の世界も実に素晴らしい。
特にAshes of usの歌詞はその詩的世界に静かな感動を覚えました。
これは、Suedeには見られなかった美しさだと思います。
ブルーレイがこんなに安く買うことができ良かったです。
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