全編に渡ってヴィトの泣きのギターが、個人的にはスタジオ音源ではばっちりのマイク・トランプのややハスキーな歌声が、White Lionのアルバムの中で一番感じられる最高傑作。とにかく泣けます。「wait」、「when the childen cry」なんかは、特にお勧めです。アメリカのバンドなのにヨーロッパ的な叙情的な音楽をやってるバンドでしたね、当時。
ゾンビになる疫病が蔓延している英国では、それらunmentionablesと闘うために東洋の武術を身につけることが尊敬される紳士の条件であった。特に京都の忍者の術が上流階級の間では尊敬されていたが、貧乏で日本嫌い、変わり者のMr. Bennetは五人の娘を中国に送り少林寺拳法と剣術を身につけさせていた。
ロンドンの上流階級に属す独身のMr. BingleyがMeryton村に別荘を買い、彼を歓迎するための舞踏会でMr. DarcyはElizabeth Bennetを侮辱する(かの有名な場面)。その直後に舞踏会はゾンビの襲撃に遭い、見事な闘いの術を披露したElizabethにMr. Darcyは惹かれるものを感じる。
上品なオースティンのロマンスとグロで下品でバイオレントなゾンビものを合体させたところがこの作品の最大の魅力である。すべての章が原作と一致するように書かれていて、原作をちょっと変えただけで突如下品になるジョークが可笑しい。女性ファンが多いオースティンの作品を若い男性が書き直すとどうなるのか、というところも興味深い。残念なのは、ジョークの繰り返しが多く、展開に意外性がないところ。だが、オースティンファンが読まずに「品がわるい」、「侮辱だ」と批判するのはお門違いだ。私もオースティンファンだが、嘔吐や脳みそが飛び散るパロディが、主人公の性格をめちゃくちゃに変えたハーレークイン式ロマンスよりも侮辱だとは思わない。大学の授業で、原作とあわせてこの作品とハーレークイン式ロマンス版オースティンを比較すると面白いと思う。
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