杉本暴れん坊ま~くんのきっちり研究所

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K  なんという小説なのか。私は最初、布団の中で読み出したら本を閉じられず、明け方まで読んでしまい、すっかり寝不足になった。ひと月たって、またお茶を飲みながら読みたくなり、ページを繰り出したら、初読とは微妙に感想が違い、ここに満ちているやさしい光はいったい何なのかと思いつつ、とうとう最後まで座りっぱなし。ふしぎな魔力のある小説である。
 妻との出会いから死までの、齟齬の多い夫婦の歴史を描いた私小説にはちがいないが、従来の「私小説」の概念はきれいさっぱりくつがえされる。軽妙でユーモラスなタッチの小説である。「ばけたらふうせん」を始め、名品童話を生み続けてきた作者ならではの、ひらがな主体の平易な文体である。それは、手触りのよさをこえて、砂浜や青畳や板の間を、夏に素足で歩くときの踏み心地、あしうらの気持ちよさを思わせる。さらさら、すんなりして、ほわーんとあたたかいやまとことばなのである。しかし、その土踏まずをくすぐるそよ風のような文章とは対照的に、半世紀の夫婦の実録風に語られる内容ときたら、おどろくほど厳しく寂しいものなのだ。平穏な夫婦として過ごした時間はごくわずか。同じ屋根の下に暮らしたのも、知り合って十年ほどの間。あとは別居生活が続く。しかも、作者はただ一生懸命文章を書いて書いて書きまくって、妻子へまるごと送金する。まるでこれじゃ貢男さんだよ。よく離婚しないな、と半ばあきれつつ、作者に同情を感じつつ読みだすと、失礼かもしれないが、面白くて途中でやめられない。
 自己愛の強い妻を、なぜか深い所でゆるし愛している一人の男の心情に、思わず引き寄せられてしまうのだろう。「Kは自分勝手でわがままで、心がせまくて、他人をおそれることはなはだしく、内に対しては横暴なやつだった。そんなやつのために、なんで泣いてやらなくてはならないのか。おまえはどうかしている」と書きつつ、妻の癌の再発手術の晩、大泣きする作者。
 夫婦とひとくちにいっても別の宇宙ほどのちがいを、つくづく思わされる。本作は「裸足と貝殻」「柴笛と地図」にならぶ自伝三部作という。「裸足と貝殻」の冒頭、引揚船のマストにしがみついていたあの少年が、とうとうここまでやって来たかと、三木卓ファンは胸迫るものを覚えるはずだ。それでなくても、「K」は、人間の一生があれよあれよと経ってしまうすさまじい早さが、ずーんと胸に来て、恐ろしく、ミラクルな実感を残す。
 ところで、Kとは、奥さんで詩人の福井桂子のイニシャルとして紹介され語られるのだが、はたして作者が込めた意味はそれだけだろうか。もう一つ裏打ちがあるのではないか。漱石の「こころ」に自殺者として登場する先生の友人、Kのことである。「こころ」の先生は、死んだKに終生負い目を感じている。明治以来の日本文学のもんだいであるエゴイズムに、三木卓は、誠実で積極的な回答を、生涯をかけてここにひっそりと、子どものような無垢な目で、差し出しているのではなかろうか。さらにいえば、日本近代の「私小説」が、破滅的な人生を露悪的に書くことが主流であったことに、ひそやかに反旗を翻しているのではなかろうか。孤独で淋しいうかばれない人間同士だったが、そういう人生も、なかなかいいもんだったよと、肯定の笑みに転じようとしている。
 この小説は、無性になつかしく透きとおっていて、全体がよく練られた散文詩のようでもある。喜寿を迎える三木卓の小説家人生の結晶であるとともに、近代日本文学への、柔よく剛を制す挑戦作でもあるのではないだろうか。
 なにはともあれ、三木卓が一生かかって至りついた文体がここにはある。

日本歌曲選集(1) 谷川俊太郎の詩に林光が作曲した「ほうすけのひよこ」がすばらしい。間に鮫島さんの詩の朗読が入ります。歌詞が日本語だから言葉の一粒一粒まで伝わります。ドイツ人がシューベルトの冬の旅を聴くときもこんな感動を味わうのですね。

三好達治が大好きなのですが、香月修作曲の「甍のうえ」と「乳母車」が入っています。この曲はいろんな人が曲を付けています。Lieder Nach Texten von GoetheというCD10枚のセットが出ていますが、三好達治の詩による歌曲集なんてどこか企画してくれないでしょうか。

普段あまり聴く機会のない日本の芸術歌曲。このシリーズは最後の一枚を除いて品切れになっています。歌曲は人気がないのでしょうか。ドイツ・リー トを聴く人も日本歌曲はあまり興味がないのでしょうか。でも、歌詞の意味が分かり、ちょっとしたアクセントの付け方で歌手の表現したい感情が手に取るようにわかる。日本歌曲の良さだと思います。ボックスセットで再発売してほしいと思います。

pure 4 be natural 白い巨塔で御馴染のあの曲は最高でした。
しかしその他の曲が今ひとつで・・・ちょっと残念です。
心を打たれるような曲や詩が無かったように感じました。
次作に期待します。

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