イーストウッド監督の息子のカイル・イーストウッドもなかなかいい旋律を奏でています。お父さんも琴線に触れるいい曲を作りますが、戦争映画のサウンドトラックとして、とても物悲しく感動的です。「男たちの大和」の久石譲の旋律はいかにも日本人の心に訴えるものでしたが、この作品もまるで日本人が作曲したような錯覚を覚えるほど情感がこもったメロディでした。映画自体がとてもバランスよく描けていて、どちらに正義があるわけでない昨今の世界情勢を見事に作品化しています。戦争映画の名作として残ると思いますが、音楽も実に見事です。シンプルなテーマもいいですが、エンドタイトルのような武満徹をも思い起こさせるスコアも立派な出来でした。
NHKが過去の番組で収録した映像から良いシーンを選んでまとめています。 民放のそれに比べ、人員も予算もフンダンに投入されているからか 普段はなかなか見られないような希少種等の映像も含まれています。
例えばそれは、絶滅危惧種のアカガシラカラスバトであったり、 数十年振りに人が立ち入った南硫黄島の映像であったり、 空から島々を捉えた空撮であったり。 その辺りに関しては、さすがNHKという印象で見応えがありました。
普通に観光しただけでは見られないものが多いので 初心者向けと言うよりは 小笠原諸島についてある程度の知識を持っている人が より深く小笠原を追求したい人向け、という印象を受けました。
同じタイトルでDVD版とBD版が有りますが 何と言ってもBD版がお勧めです。
硫黄島を舞台にした壮絶な戦いを日本側の視点で描く。
日本人として、このような戦争があったことや
当時の兵隊の考え方など
映画でやや脚色があることは抜きにしても興味深い点が多い。
それぞれの日本兵がどんな思いで硫黄島の地に赴き
そして戦っていたのか、想像するだけで胸が痛む。
やや残酷な戦闘シーンや自害シーンなど
観ていて辛い部分があったり、
期待していた程ではないということはあるが
戦争の意味や歴史を知るという面では
価値のある作品。
この本を読み終えたとき多くの人は涙すると思う。
硫黄島での激戦とその死地で日本軍を率いた栗林。その凄惨な現実と彼が家族に送った手紙に書かれた人間味溢れる言葉。まるでかけ離れた二つの現実は、戦争がまさに存在し多くの生身の人間が死んでいった歴史を再認識させてくれる。太平洋戦争で亡くなった人たちは、鬼畜米英でもなければ冷血非道な日本兵でもない、まさに生身の人間であったのだと。戦争という国家間のナショナリズムとイデオロギーの対立と、本来人間が持つヒューマニズムが交錯した瞬間を、この本はしっかり書き留めてくれている。
是非、戦争を知らない我々が読むべき一冊。
さすが、クリント・イーストウッド監督作品。真面目な原作に忠実に、よくぞ、ここまで素晴らしい作品を作ったものだ。原作者が父・ジョンの死後、硫黄島の擂鉢山を訪れるシーンから始まって、父親たち6人の国旗掲揚者の半生を追う原作と違い、映画は主人公たちの過去と現在、そして彼らの死後を行きつ戻りつすることで、より劇的な効果をあげている。特に見事だったのは、熱狂して彼らを迎える聴衆の歓声や歓迎の花火の音や閃光を契機として、彼らの戦場の記憶に映像が飛ぶこと。とりわけ、一番平静に見える原作者の父・ジョンが、「衛生兵(コァマン)!」と自分を呼ぶ声に振り返る時の驚きの表情は、彼の戦場体験の過酷さ、精神的な傷の深さを雄弁に物語っている。
それにしても、ちょっと間違えば「反日映画」になりかねない、硫黄島戦というテーマを、イーストウッドは冷静に「戦争が人々に与えた苦痛」として描ききった。そこには、敵と味方、善と悪の対決図式はなく、戦争そのものの善悪を追求する姿勢さえない。ただ、戦場に赴いた兵士たちが何を見、何を行ったのか、そして、戦場を離れた後にどのように日々を過ごし、死んで行ったのかを、擂鉢山で国旗を揚げた6人を通して、映像化した。必見の映画である。
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