この映画が封切られた当時、TVでもドラマが評判だったと思う。このドラマは自己との戦いの物語と言っていいのかもしれない。夫の妻への不信、子供を復讐の道具に使う大人のエゴ。利用された少女は何の罪もない。そういった内容である。映画を観る限りではうまく処理され観る者を飽きさせないのはやはりベテラン監督の技量と思う。
しかし、山本薩夫監督は題材が自分にあっていない。贖罪というテーマはどうもしっくり来なかったと述懐していて、これは失敗作と語っているのを、本で読んで驚いた。監督としては納得のゆかないところがあったのだろう。
歪んだ憎悪や醜い嫉妬など様々な人間の負の感情が絡み合ってストーリーは展開していく。人間の理性の欠如が数々の悲劇を招きます。しかし、それらは中々表出しない。いつ導火線が着火され、悲劇が起こるのだろうと読者は終始緊張感を持って読むことになります。雪国の寒く美しい情景の描写が、一層その緊張感を高めます。最後には一気に全てが表出し劇的な結末を迎えます。いつの時代に読んでも心に響く名作だと思います。
発表当初から不安がないわけでもありませんでした。タイトルとジャケ、しかも曲ごとプロデューサーが違うということから、「これはもしかして、後退した趣味っぽい作品かも」・・・と思いきや、実は、全く変わっていません。逆に大物の貫禄さえ感じます。1曲目から全開です。ひきずり込まれます。彼女の場合、一般の歌手と違い、プロデューサーやスタッフが変わっても、作風やスタイルが変わるどころか、どんどん自分の栄養にして、しっかり大地に根を張っていく、たくましさのようなものがありますね。かつて参加したディープ・フォレストをも「こやし」にしてしまっている。初めて彼女の歌を聴いたときの異様さは忘れられません。あれから10年以上が経過しましたが、本来彼女のようなスタイルは、決してメジャーにはならないはずですが、既に唯一無比の「元ちとせという音楽ジャンル」は、既に確立された感があります。本作においては、どんな楽曲をも、ちとせ流に自在に歌いまくる、彼女「歌力」は円熟の境地に達しています。
このドラマは三浦綾子原作「氷点」をドラマ化したものです。
以前にこの原作をドラマ化したものに「氷点2001」というドラマがありました。しかし「氷点2001」はただ単に養母から娘へのいじめに焦点を当てただけの凡作でした。「氷点2001」に比較するとこのドラマは原作に忠実で、しかも原作の「キリスト教の原罪」というテーマを深く掘り下げた完成度の高い作品に仕上がっていると思います。
この作品では私は陽子の健気で潔癖な生き方が大好きです。このドラマでは陽子の幼少時代を演じた森迫永依、陽子の成年時代を演じた石原さとみが共にすばらしい演技で期待を裏切りませんでした。陽子の、養母のいじめに遭いながらも前向きに明るく生きようとするたくましさ、自分の出生の秘密に悩み傷つきながらも潔癖に生きようとする姿勢には感動しました。
後半部分では陽子が義理の兄とボーイフレンドとの間の恋愛模様に悩む姿もあり、恋愛ドラマとしても楽しめる要素が多分にあります。
北海道の雄大な自然描写とも相まって心に残る名作だと思います。
この曲は初めて「歌」というものの価値を感じた。 歌とはこんなにも人の心を揺さぶれるものだと感じさせてくれる。 決して明るい曲ではない「infection」だが、 この曲聞いた後のはなぜか心のどこかが軽くなる、そんな思いさえある。
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