夜と霧の隅で (新潮文庫)
芥川賞受賞の表題作ほか4編を収録。北杜夫の非主観的な論理が発揮された作品ばかり。特に真価を発揮しているのが表題作だろう。
極限状況における客観性とはどうしようもなく絶望的でありながら、全否定できない甘美さがあるのも事実。そもそも客観性とは
何なのか?その本質に斬り込む。形は同じ人間。ただ罪悪の味は千差万別。一方死は死でしかない。同じ味。ただ形はバラバラに
砕け散る。。答えのないテーマ。
さて、他の作品も面白い。生と死がダイレクトに交錯する断崖の岩場において展開する催眠的な物語「岩尾根にて」。
ある男女の背徳と、幼子の無限大の純真を、羽のない蟻と羽のある蟻に見立て現実の諦念を鋭く説いた「羽蟻のいる丘」。
どうしても形式化される学問の性質と、証明不能な霊魂の存在を対照的に描き、人間生活の不可避なペテンと小さな生甲斐を
垣間見せる「霊媒のいる町」。
執念も突き詰めすぎると餓鬼のごとく。蝶採集に貪欲にこだわったある男の悲喜劇「谷間にて」。
北杜夫の初期作品を満喫できる一冊です。
ラスト・ワルツ/ベスト・オブ・エンゲルベルト・フンパーディンク
いいだけアメリカンポップスを聞いていた私の青春時代。
いきなり現れた長い名前の毛むくじゃらのオジサンが聞いて心地よい曲を歌っていたので、買ってみるかと思いつきで買ったファーストアルバム。
買ったレコードを持ってるだけで十数年。最近時々テレビのバックミュージックで流れて思い出し、又聞いてみるかとCDを買いました。
依ってレコードと同じものを買った次第。
早速車のナビに入れ、長距離のドライブなどで楽しんでいます。
おじさんは最近のジャッポップスのようなリフレインだけの無意味な歌詞にはうんざりしていて、こういった旋律と歌詞以外は聞く気になれないのです。
ですがさすがアマゾン、どんな古い曲でもちゃんと探せばあるというのがすごい。