マラソン1年生
たかぎなおこさんのひとりたび1年生、2年生、浮き草デイズなど愛読していますが、マラソンには興味がなかったので、これは購入を迷ってました。が、読んでみたら、今までの中で一番楽しめました。走ってみたいなんて思っていなかったわたしでさえ、読後はマラソンっておもしろそう、と思ってしまったから不思議です。いっしょに走る仲間のキャラも楽しい。マラソン2年生も期待したい。
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わずか何両かの車両とそこで流れる時間の中には多くのエピソードが詰まっている。そこには人々の喜怒哀楽が常にある。この作品はそこを見事にすくいあげている。大きな展開はないけどそこに魅力がある。ありふれた日常の数々を見事に映し出しているのだ。ウェディングドレス姿の乗客はいないだろうけど。
登場人物が多いが1人1人のエピソードを丁寧に描いているので混乱する心配も無用だ。季節を越え描いているのもいい。その間に変わったことやそうでないことがきっちり描かれていて。回想シーンが中心なのだがそれが続くのかと思うと、別の演出をしてくる。このあたりも非常にうまい。観ている間は笑ったり、少しグスンときたり。実に映画らしい映画だ。
女優陣がとくに頑張っていた。なかでも宮本信子は好演だった。
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私は通常版より本編が長い、このエクステンデッド版しか観ていないが、あの大作を実によくまとめたものだと感心した。逆に、どこをどうカットしたのか分からないが通常版だとやや物足りないないのではなかろうか。
ただしこれは、やはり原作を読んだ上で鑑賞に臨んだほうが良い作品だと思う。そのほうがより楽しめるだろう。ヒロインが「最後の晩餐」の絵を前にして初めて聖杯の意味を明かされる場面、巧妙な仕掛けのクリプテックス、その解除コードが解る瞬間、その後暗号を解いて教会に入る場面‥。そしてラスト。謎の終着点。これらの場面など、いかにも映像ならではの楽しさを与えてくれる。
また、トム・ハンクス演じる教授が最初に呼び出される場面、謎の僧侶の苦行シーン、またその彼が終わりのほうで倒れる場面、そして主人公二人の別れのシーン。これらは原作とは若干異なる場面なのだが、むしろ映画のほうがスッキリまとまっていて良かったと思う。
総じて「監督、頑張りましたね!」と私は褒め言葉をかけてあげたい。
最後にキリスト教に詳しい者として、一言。
この物議を醸し出した大作を映画化するにあたって、この監督の一番の功績は、あくまでミステリーの謎解きに焦点を置いた事かもしれない。
キリスト教徒がまともに受け止められないような、異教の女神礼讚伝説だの、ややこしいシンボルの深読みだの、カトリックに喧嘩を売っているとしか思えないような物語の作りだの‥。そういう過敏な所は、映画では触れられていない。原作では崇め奉っていた感のある、肝心の‘聖杯’さえ割とさらっと描いていて、むしろ好感が持てた。
原作はスピーディな展開が大変面白い物語だが、ある程度キリスト教の知識がある者にとっては、実に馬鹿げた話で鼻白んでしまう。
かえって映画のほうが万人向けで、私はよく出来ていると思う。
è©ãè¨
立て続けに葉室麟の作品を読んだ。
『星火瞬く』
『刀伊入寇』
そしてこの『蜩ノ記』
同じ葉室麟作品(『橘花抄』『川あかり』)のレビューでも記した通り“理不尽に立ち向かう正義”というテーマは
いずれも共通している。
そして、この3作品の中では本書が最もストレートに“正義”を表現している葉室麟ならではの作品と言えよう。
主人公 秋谷はどこまでも実直で、清冽で、しかし虐げられた人々への想いは優しさにあふれ、熱い。
そして淡く切なく実らぬも凛とした慕情を胸に秘めながら、泰然と腹を斬る。
これぞ、“葉室ワールド”である。
但し、他のレビューアーが指摘の通り“藩内のごたごたや人間関係の説明が少々煩わしい”のも事実であり
残念ながら葉室麟のBest of Bestとは言い難い。
葉室麟これまでのBestは『銀漢の賦』か『橘花抄』か、あるいは『いのちなりけり』か?
未読であれば是非!