夜中の薔薇 (講談社文庫)
彼女のエッセイはどれを読んでもハズレはありません。それは彼女の日常を見る視点が我々の目線と同じだからであろう。しかしその視線は我々の視点の奥まで見据えている。男女問わず、彼女の感覚に触れてみて損はない。本書の中でのオススメは「言葉は怖ろしい」です。
無名仮名人名簿 (文春文庫 (277‐3))
向田邦子の人々を観察する観賞眼には驚かされた。こんなに面白くて人々をよく観察しているエッセイは初めて読んだ。人生こんなに身近なところにいろいろ楽しいことがいっぱいあるのだなとあらためて思った。
向田邦子の手料理 (講談社のお料理BOOK)
どのメニューもおいしいです。私はほとんど作りました~。
随分前?の料理本なのに古さを感じさせません。実は1冊目ボロボロに
なってしまったので我が家の本は2冊目です。
お酒の肴あり、炊き込みごはんあり、向田さん好みの和食器あり・・・。
メニューは大人味(クセのある野菜や酒の肴)なので子供さんや
若いダンナ様には不人気かもしれません。舌の肥えたグルメさん用ですね
(向田さんの妹さんが以前開いてらした大人の居酒屋っぽいお食事処で
出されていたメニューがほとんどです)。
味付けなどは事細かに掲載されていません。だから作り手もある程度
経験があったほうが良いと思います。
ほんとうにおいしいんですよ。私のベスト10に入ります。
偏愛マップ―キラいな人がいなくなる コミュニケーション・メソッド
この本で偏愛マップなる偏った愛情を持ったもののマップについて
いろいろ学ぶことができた。このマップは、自分が気がつかない
うちに発言していないことや、人に話す機会がない一面をおおっぴら
にできるすごいツールだと思った。
このツールを使うことによりいろいろな物事をよいほうに改善できると
面白いなと思いました
向田邦子 久世光彦 終戦記念BOX [DVD]
3月2日に急逝された久世光彦さんが演出された、終戦記念ドラマシリーズです。
久世さんが手がけられたこのドラマシリーズでは、戦争はあくまで背景として描かれていて、ここでも主役は「家族の日常」です。
戦時下でも変わらない心のふれあいと微妙なずれが、久世さん独特の美意識によって色彩豊かに描かれています。
このシリーズで一番印象に残っているのは、「蛍の宿」のラストシーンです。
戦争が終わった日の午後、まばゆいばかりに輝く海に向かって末娘役の田畑智子さんが砂浜を駆けて行くシーンは鮮烈でした。
「いつか見た青い空」のラストのナレーションも感動的でした。
・・・・・あの日の空は青かったと誰もが言います。何かが終わったのか、それともこれからはじまるのか、私にはよくわかりませんでした。私たちは四人で青い空を見ていました。いつまでも、いつまでも・・・・・。
ナレーターの黒柳徹子さんは読みながら声をつまらせ、涙を流されたそうです。
戦争を体験された世代としては、久世さんの世代が最後になるのでしょう。
戦時下の人々の暮らしを身近な日常として描くことは、後の世代の作家には出来ないことです。
そういう意味でも、この作品が素敵な装丁のDVDとして残されることを嬉しく思います。
あらためて、久世光彦さんのご冥福をお祈りします。
そして、ありがとうございました。