テツワリミックスズナリ2009 [DVD]
戌井さんの頭の中の世界へようこそという感じです。地獄あり天国ありというか、平成の見世物小屋とも言われているし、コントのようでもあり、落語のようでもあり、寸劇や歌舞伎、狂言、浪曲などすごい世界です。毎年いろんなところで公演をやっているので見に行く前に参考に見てみるといいとおもいます。なにしろ生で見たほうがすごいですが、映像もすごいです。毎回記録に残してほしいです!
芥川賞を取らなかった名作たち (朝日新書)
本書は、芥川賞候補作品のうち受賞に至らなかった作品の中から筆者が選んだ名作12作品を、仙台文学館の連続講座で受講者とともに読み直したものである。講師を務めた筆者は、作品と作者についての解説や名作の所以、読みどころに加えて、当時の選評や同じ選考期の他の候補作品にも触れる。文章は講演調で分かり易く、講座受講者やゲストの文芸誌編集者や作家の発言もあって、会場にいるような気分になる。
評者はこれまで佐伯さんの小説をほとんど読んでいないが、実作者ならではの解説は非常に面白かった。文学観が窺えるものに「小説の批評はいくらでも悪く言える。悪いところばかり見ても本当に読んだことにはならない。いいところを見つけ出したいと思って読む」とか、「(作家が戦争体験や闘病体験を描くのは)書かないことには苦しみから解放されないし、生きられない」とある。また小説の作法としては、主人公の人称によって視点が変わること、書き出しの工夫、通俗性を避けた比喩表現、等に作家の苦労を語る。
筆者は良い作品は良いとの考えであり、芥川賞の当落に拘ることは本書の意図に反するだろうが、凡人にはやはり気になる。選考の最終局面では、選者の作家・作品に対する好嫌や押しの強弱が反映し、2作品で競った場合は同時受賞もあるが3作品で競った場合は該当作なしが多いとは、腑に落ちる話だ。個別には、北條民雄の場合、師匠格の川端康成が北條の病気と世間への配慮から強く推さなかったことに触れ、また島田雅彦と干刈あがたの秀作が落選したケースでは、選者達の読む能力に対しやんわりと疑問を呈している。
巻末に芥川賞候補作と著者が名作として読んできた作品のリストを掲げている。いずれも興味深いが、洲之内徹の「棗の木の下」と小沼丹の「村のエトランジェ」は、すぐにも読みたいと思った。
すべて真夜中の恋人たち
すごく良かったです。 恋がしたくなりました。 たぶんわたし達は死ぬのが分かっていながらも人生の間違い探しを続けます。 毎日の選択肢の中で、夜が終わる前に後悔し続けます。 何年も後になって気づく事もあります。 そんな時に思うのは光のようにあやふやな、現実にありがちな残り物のような気がします。 とても良い本です。
ALWAYS 続・三丁目の夕日 オリジナル・サウンドトラック
まさかの「ゴジラ」のテーマで幕明けです。伊福部音楽も大好きな自分にとっては嬉しいプレゼントのようで、この続・三丁目〜のアルバムに入っているということに価値があると勝手に思っています。まったく同じではなく本家より軽快なオーケストラで佐藤氏らしさが出ているのが絶妙。
もちろんあの泣けるテーマ曲も健在。楽器もいろんなアレンジがされています。
そして特に後半18.「指輪(本当に泣ける)」、19.「嘘」、20.「踊り子」、21.「再会」、22.「ALWAYS 続・三丁目の夕日」は泣ける曲怒濤のなだれ込みでおなじみのメロディ+新メロディの編曲がとても新鮮で素晴らしい!ポロポロ涙が止まらず、ぞわ〜っと鳥肌が立ってしまいました。
全体的には前作より静かな印象かもしれません。
まだ作品は見てませんが絵が勝手に頭に浮かんでしまいます。自分の想像を超えていることを願い、又、楽しみにしたいと思います。
猟銃・闘牛 (新潮文庫)
井上靖氏の作品との出会いは、「しろばんば」「夏草冬濤」「あすなろ物語」であった。それらの作品群とは異なる初期の作品である。
毎日新聞社記者生活14年を経て、初めて世に出した小説「猟銃」は、不倫をテーマにした書簡型小説。愛人の娘、愛人、妻、それぞれからの手紙が、真実を伝える。
「闘牛」は芥川賞受賞作品。夕刊専門誌の新聞社主催で、西宮の球場で牛相撲(闘牛)大会を開催する。成功させるために紛争する男の物語。 「比良のシャクナゲ」は、老医学者が人生の転機で訪れる琵琶湖畔堅田の旅館で語る家族への不満。勝手で孤独な老人の愚痴が涙と笑いを誘う。
作家が初めて世に送り出す作品は、どれも魂がこもっている。「孤独」を心に抱えながら必死でがんばる登場人物たちの姿が、痛々しくもあり、涙と笑いを誘う。井上靖の原点となる作品をぜひお読みいただきたい。