「ライ麦畑」の正しい読み方
ライ麦畑の「正しい」読み方、なんて、傲慢なタイトルじゃないの!?と思ったが、後書きによると、出版社の意向に従っただけで、作者はそうしたことを「少し後悔している」とのこと。
JDサリンジャーが、ライ麦畑を独立した一個の作品として扱って欲しいと願っているらしいことは、村上春樹氏の新訳に解説や後書きの類が載らなかったことでも自明だ。私自身、マンハッタンの街並や、当時のステータスを示すブランド名くらいは、作品理解のために知っておきたいとは思うが、それ以上でも以下でもない。
ーーにもかかわらず、「ホールデンが落としたレコードは何故粉々に割れたか」という、目次の一節は、私にとって殺し文句だった。私はてっきり、金額とか回数とかの数字を度々桁外れに多く表現するHolden独特!のレトリックの一つくらいに思っていたから、そんなものに問題提起があってしかも、はっきりした回答が添えられていることがとても新鮮だ。
「ライ麦畑」小辞典はいい。「ライ麦畑」が言及されている日米の書物や映画などに詳しく、「正しい読み方」という傲慢なタイトルとは裏腹に、作品に対する態度は誠実で、「ホールデン・コールフィールド協会」なる作者の「ライ麦畑」への愛情・愛着が伝わってきて、いい。ライ麦畑のもとになった歌の原詩をみつけたときにはつい、声に出して歌ってしまった。本書を読んで「ライ麦畑」を原書で読みたくなった。(そして、読んだ)
ジョン・レノンを撃った男 [DVD]
1980年12月8日。あの日のことは、忘れることが出来ません。ジョンレノンを射殺した男。
マークチャップマン。このDVDを観てただの精神異常者としか思えませんでした。
なぜこのような精神異常者が今だに死刑にもされず刑務所に監禁されてるのか?
精神異常者ならば精神鑑定で仮釈放されてもおかしくないのでは?と考えると精神異常者じゃないのか?
なにか公表出来ない裏があるのでは?と思ってしまいました。
ジョン・レノンを殺した男〈下〉 (扶桑社ミステリー)
映画「チャプター27」の公開を期に、絶版になっていた訳書が文庫本として復刊されたものです。
本書は、1980年12月に起こったジョン・レノン殺害事件の犯人であるマーク・デイヴィッド・チャップマンを題材にしたものです。彼の殺人に至るまでの「謎」を200時間以上に渡る獄中取材を中心に、周りの人たちへの取材を加えて描かれています。更には、当時の精神科医らの見解も含めて、彼の心的状況を捉えて行きます。
全体を通して、何となくその「謎」に辿りついたような気にはなりましたが、一方でチャップマンの精神面の異常さを十分には理解仕切れていないという気もします。
こうした理解をより深めるためには、「ライ麦畑でつかまえて」をもう一度じっくり読む必要があるのかも知れません。そうすれば、幼年期、思春期に心理的なトラウマを負った抑鬱的ヤング・アダルトが、大人の社会で機能できない状況を、もう少し理解できるかも知れません。
それ以上に怖いなと思ったのは、クリストファー・ラッシュの「ナルシシズムの時代」の内容で、現代社会がこうしたチャップマンのような人物を生み出しやすい社会になっているという分析です。マス・メディアの発達によって、現実と幻影が曖昧になり、「有名人」に「夢物語」を見て、そこにアイデンティティを確立しようという人たちが出てきているということです。それは、その後のヒンクリーの例を引くまでもなく、人々が「ダーク・ハーフ」に捕らえられる危険性を有しているということだからです。
この本自体は、非常に上手く構成されていて、チャップマンの心の動きを良く描いていると思いますし、事件の真相に非常に近づいた本だと思います。
訳の方も、日本語にしてしまうとニュアンスが伝わりにくいところは原語のルビが振られており、理解しやすくなっています。それと同じ意味で、「ライ麦畑でつかまえて」の新訳にあたって村上春樹があえて「ザ・キャッチャー・イン・ザ・ライ」とした意図が解ったような気がします。
スティーブン・キングのランゴリアーズ [DVD]
結構待ち望むファンが多かったものの、なかなか日本語版DVDの発売されなかったランゴリアーズが何とアメリカ版DVD発売から8年経った今、前触れ無く突然発売されました。
これはうれしいニュースです。
と、言いましても私は待ちきれず英語版DVDを輸入して既に購入してしまっているのですが。
内容的には英語版DVDと同じで特に特典映像はありません。
音声、字幕ともに英語と日本語の両方が入っています。
若干の違いはパッケージです。
英語版では裏面に映画のカットシーンが載っているのですが、日本語版ではそれが無いため、ランゴリアーズを知らない方は全く内容が分からないと思います。
ご存じの方も多いかと思いますが、飛行中のジャンボ機で突然多くの乗客が消え、その謎を解き明かしていく、といったストーリーです。
映像状態ですが、ビデオ時代のマスターテープからエンコードしていると思うのですが、クリアでは有りません。
ビデオテープ画質と思って頂いて良いと思います。
英語版と比べましたが、画質についてはほぼ同等と思います。
映画が公開されてから10数年経つ作品ですが、今観ても面白いと思います。
特にスティーブンキングで検索されてこの商品に辿り着いた方には是非観て貰いたいと思います。
物語に引き込まれること間違い無しです。