魔法遣いに大切なこと~夏のソラ~ (2) (角川コミックス・エース 209-2)
魅力的な主人公を読者に印象つけ、人間関係も細かく描写し・・・張られた伏線を爆弾のように爆発させる。
この作品のソラの最後は、ソラの願いが成就したように感じるが、そうでもないという違和感が残ります。
ソラの心の底は読む者の一人ひとりの解釈で変化すると思います。
ですがどんな解釈をしても、この作品を読んだ方は最後に涙すると思います。
よしづきくみち画集 ~Calendar Film~
イラストレーターとしても評価が高い漫画家よしづきくみちさん待望の画集発売。
彼にしか出せない透明感と色彩。その消えてしまいそうな淡さにディテールの高さが絵に不思議と説得力をもたらしている。本当にいいイラストを描く人だ。
改めて見ても一枚一枚全てが完成された作品という趣きを持っていて素晴らしい。故にラフイラスト一切無し。
また、よくある画集の手抜き感(無駄なページやレイアウトの適当さ等)は一切感じられない。
そして、副題Calendar Filmが示す通り、四季をコンセプトにした構成は、書き下ろしは少ないものの、新鮮な気持ちで彼のヒストリーを見せてくれる。
決して安い買い物ではないが、気になるならば是非手に取るべき。
魔法遣いに大切なこと~夏のソラ~ (1) (角川コミックス・エース 209-1)
アニメ版もすっとぼけたアジが出ていて悪くないですが、ちょっと唐突感が否めない部分や、「社会人として、その対応・指導はちょっと違うのでは?」と首をかしげる部分が散見されました。
(例えば、こちらの話を聞かない我が儘なクライアントが、携帯で延々と話していることに対して、『人と話しているときは電話を切れ』とハッキリ言う研修生に、ただただ頭を下げさせ、相手の我が儘な要求をそのまま聞き入れたりします。そこは、『お待ちしておりますので、お話し下さい。その後で当方の主張を述べさせていただきますので』と言い直させるか、『研修生の表現に行き過ぎたところがございました。後で言い聞かせますので、こちらの話もお聞き下さい』と研修生に生きたフォローを入れるべきだと感じました)
対して漫画版は、ヒロイン、上述の同期研修生など、それぞれが爽やかに躍動的に動いていて、読んでいて楽しいです。
アニメ版とほぼ全く別ものの漫画版になるのでは?と期待をかけていましたが、ラストはやはり少々切なく収束していきました。
それでも(近々の短編集などを読まれてよしづきくみち氏の構成力に多少不安を持たれている方には特に)、「本作は面白いですよ」と一言申し上げさせていただきたいと思います。
君と僕のアシアト〜タイムトラベル春日研究所〜 2 (ジャンプコミックスデラックス)
作者さんの画力はデビュー当時から秀逸でしたが、ストーリーもこれほどのものを考えることが出来るとは驚きました。
ストーリの深さと画力が見事に融合していますので、説明セリフがなくても心地よく物語の内容を理解して読み進むことが出来ます。
基本的には1話完結方式なのですが、SF要素も織り込まれているので、複雑な伏線の回収がどのように行われるか今後がたのしみです。
さりげなくパロネタもあり映画通の方はにやりとさせられると思います。
今回は、読みきりや1巻ではクールな傍観者を演じていた所長さんが大活躍してくれます。
表情が良い感じに変化するので、それを見ているだけでも楽しいです。
所長さん暴走の回では、あのメカが過去で大活躍するのですが、この物語に不可欠なあの能力のあるあのメカを、未来から過去に転送(データーのみですが)できるとすれば、なんとなく伏線の内容が推理できるヒントが示されています。
このあたりは唐突ではなく1巻のストーリの中で示されていたのはさすがだと感じました。
表紙買いしたのですが、これほどの良作だとは思いませんでした。
今一番楽しみな作品になりました。
君と僕のアシアト (よしづきくみち短編集) (ジャンプコミックスデラックス)
原作も絵もよしづきさんの単行本は2冊目。
前作と同じくSF風味の作品が載っています。タイムトラベルして過去の謎を解く話は、ミステリー要素があって、読み物としてすごく面白い。勿論他の作品も良い。前作と同じく、切ない作品が多くありました。
短編集を2冊読んで思ったのは、よしづきさんは短編を描くのが本当に上手い。
少ないページ数なのに、どの作品にも起承転結があり、しかも面白い。
今後の活躍にも期待ですね。