三国志〈中〉 (岩波少年文庫)
本書は三国志通俗演義の抄訳です。新入社員だったころ、岩波の「図書」に連載されていたのを愛読しました。演義の完訳版は岩波文庫から出ていますが、長くて煩雑すぎるきらいがある。本書は原書の枝葉を取り半分ぐらいに圧縮しているので、話の筋道がわかりやすい。一般論としては、抄訳が完訳よりおもしろいはずはないのですが、本書はこれで十分に読みごたえがあります。それに、人名、地名にはルビがついているので、入門者に親切。字も大きめなので、最近はもっぱら少年文庫版で三国志の世界を楽しんでいます。
三国志演義はどこを読んでも面白いのですが、本巻は三国志最大の見せ場赤壁の戦いを中心に展開します。曹操の大軍は呉軍の火攻めによって総崩れとなり、劉備は諸葛亮の計略によりまんまと荊州を横取りします。周郎こと周瑜は呉の名将ですが、気の毒になるぐらい諸葛亮に翻弄されて病歿します。劉備は蜀に兵を進めて成都を攻略、さらに定軍山で夏侯淵を破って漢中王となり、諸葛武侯の天下三分の計が実現します。
サクラ大戦 スーパー歌謡ショウ「新西遊記」
そのどちらにも満足のいく作品。
夏に行われたスーパー歌謡ショウのライヴCDとなっている。
同じ「新西遊記」でも、スーパー歌謡全集の方では未収録の曲が聴ける。これがこのシリーズの一番嬉しいところ。
今回入るこれらの曲だけでも10曲が予定されているが、観た人は夏を思い出し、観なかった人も聴くことによって色々なイメージが広がるに違いない、多種多様な曲達。
舞台を観て、もう一度聴きたい!と思った曲に会える。
レコーディングされた作品とはまた違う味わいがある。
パタリロ西遊記! 外伝 (花とゆめCOMICS)
完結した西遊記の続きではないので、それを期待して買ったので、最初はがっかり。でも読んでみたらすごく面白かったです。
本編パタリロで最初の方によく載っていた「妖怪物」と雰囲気が似ています。
西遊記〈上〉 (岩波少年文庫)
先日岩波ジュニア版の「水滸伝」を読了したので、次は同シリーズの「西遊記」だ!!という事で読んでみました。いきなり全訳に挑むのは躊躇われるので、例によってまずはジュニア版で様子見です。
「水滸伝」の方は、登場する人間の多くが荒くれ者の男性で、性別の違いを抜きにしても、生真面目人間タイプ(自己申告)の自分には感情移入がしにくかったのですが、西遊記は、ちょいちょい悟空に共感したり感情が入ったりするし、動物が仙や妖怪になったり、天界に住む仙人たちの文化の描写が細かかったり(仙丹を作る炉にワクワク)如意棒等の不思議な道具が出て来たりと世界観が面白くて、すいすい読めました!!悟空は短気な暴れ者ですが、いざという時に見せる師匠への健気な忠誠心には、ほろっとさせられます。
お話も上手に省略されているようで、テンポ良く進みます。1巻前半は悟空が岩から生まれ、仙術を身に付けるも天界で暴れて五行山に封印されるまでを描き、半ば以降は三蔵の旅が始まり、悟空、八戒(悟能)、悟浄の師弟が順々に揃い、妖怪と戦いながら天竺に向かいます。
小説家中島敦の「西遊記」ものを始め(「悟浄歎異」の人間洞察は秀逸。お読みになっておられない方はぜひ!短編なので一瞬で読めます)ドラマやサブカルなど、「西遊記」には様々なバージョンや解釈がありますが、この原作は悟空が文武両道のリーダータイプ、八戒が掻き回し役、悟浄は真面目な常識人という感じです。三蔵は可哀相なくらいの守られ役で、活躍の場面がほぼ無きに等しい・・。歴史上では、皇帝の制止を振り切り、夜中に中国を脱出してまで天竺へ行ったというので、相当根性のある方だったと思いますが、作中では愚痴を言ってばかりの、三ページ進めば敵に捕まるだめ坊主になってしまっています・・。
ともあれ、冒険小説が好きな方には絶対にお勧めです!ドラマは見たけど原作はまだ、という方にもぜひ読んでいただきたい。筋や世界観が面白い上に文章も平易なので、すぐに読めてしまいます!
こちらを読んで、岩波の全訳版(全10巻)も読みたくなりました。レビューによれば、完訳版の訳文も「読みやすい!」と大変評判が良い。更に深い「西遊記」ワールドに遊ぶのが今から楽しみです!!