Killing Joke
ミニマルでテクノロジックで、なおかつヘヴィでメタリック。・・・
でも決して「メタル」じゃない。かと言ってパンクとも違う。・・・
‘80年発表の彼らのこの1stアルバムこそ、まさしくオルタナティヴと称されるのに最も相応しいロックの有り様を提示したものなのではないだろうか。
ニューメタル、インダストリアル、グランジといった後々のムーヴメントの発生に対しても大いに影響力を及ぼした。
呪術的なジャズ・コールマンのVoは、JOY DIVISIONのイアン・カーチスを想起させたりもするが、より扇情的で凶暴性を加味したものとなっており、イアンとはまた一味違うカリスマ性をアピールしている。
ひたすらヘヴィかつエッジィに展開されるバンドの演奏にしても、ここまでミニマリズムに徹しながら、聴き手の感覚を痺れさせ、グイグイとその音世界の中に引き込んでいく、ブラックホールのような陰圧な魅力に満ち溢れている。
ネガティヴィティの発露を自らの音楽に反映させるというのは、彼らのような一連のポストパンク/ポジティヴパンクのバンドには多く見られるとは思うのだが、ここまで完成度の高い作品として結実させているという点では、本作は恐らくその最右翼に挙げられるものなのではないかと、個人的には感じている。
まさに、カルト的な立ち位置から時代を導き出していった、ロック史上にその名を刻まれるべき名盤であると思う。
ただ、世間的な評価のされ方について言えば、若干低めになっているというのは残念なところ。
METALLICAやNIRVANAを入り口としてロックを聴き始めたような人たちにも、是非体感して欲しい作品である。
What's This for
1978年に結成されたこのバンド、彼ら自身のレーベル「Malicious Damage」が当初の「Island」から「Virgin」傘下の「EG」へレーベルごと移籍し、1981年になって革命的デビュー・アルバム「Killing Joke」をリリース、その後、同年に早くもリリースされたのがこのセカンド・アルバムです。同じ年なのにこの変化はどうなの?とちょっと周囲を唖然とさせたアルバムでもあります。ダークでヘヴィなサウンドは実験的なシンセサイザーが中心となり、鋭いデジタル・ビートを導入したスタイルに、重厚でヘヴィなギターが絡み、さらにはエフェクトを施されたヴォーカルが交わって生まれるサウンドは、ダンス・サウンドとパンク・ロックの融合を果たした革新的なモノと賞賛を浴びる一方、ダンス・フロアへ尻尾を振っていると悪口を言うファンも少なくなかった様です。しかしながら、これまた後出のインダストリアル系のバンドへの影響力は更に強く、このパンキッシュでデジタルなスタイルは、当時としては革新的過ぎて受け入れられなかったのかもなあ、と思います。デビュー・アルバムとは違ったベクトルのサウンドなれど、強烈なインパクトがある作品と言えましょう。傑作!
Electric Arguments [期間限定価格 / 日本盤特別スリーブ仕様] (TRCI21LTD)
期待してなかったが、けっこう良かった。
意外に不細工な老人になってしまったせいか、ジャケットには、いつものように
顔が載ってない。
それにしても老骨に鞭打ってファイアーマンの仕事は大変だろう。
若返りには羊肉が一番!
Mmxii
ポストパンク・インダストリアルの先駆者の2012年の最新作。
前作「宣戦布告」より短いスパンでのリリースとなったが、
今作は往年の攻撃なグルーヴ路線より、
「ナイトタイム」〜「憤怒」あたりのニューウェーブ色が強く出ている。
前作も後半につれ、ニューウェーブ色が強くなっていったが、
今作はアルバム一枚ごと一色にそまっている。
あのドラムが引っ込んで、ギターの轟音が支配するジョーク特有のサウンドも、今作ではギターの音量は控えめで一昔前のサウンドに戻った様に感じた。
二枚目のセルフタイトルや、「ホザンナフロムヘル」あたりの暴力的な感じが好きな自分には少し物足りない感じもしたが、楽曲のバラエティーは多彩なので飽きる事無く聴き通せます。
ちなみに歌詞カードに、Youtube等の動画サイトのURLが記載されており、
アクセスすると歌詞の元になった事件などの動画が見られます。
コールマンの反米、反グローバリズムはまだまだ揺らいでいません。
なので歌詞の意味を深く理解するうえでも対訳付きの国内盤が発売されない事が残念です。