キラキラ!
今まではライブで主に活躍・クレジットされてきた曽我部恵一BAND。
ソロ作品で実はこのバンドで録ってたりもするが、とにもかくにもこれがデビュー作だ。
最高のロックンロール・アルバムです。純粋に感動してしまった。
全体的に衝動に満ち溢れた、躍動感に満ちた作品になっている。
ラジオで本人もいってたが、まるでライブをそのままやってるようなテンションと疾走感。
どの楽曲にも「楽しんで演ってます!」みたいなポジティブなエッセンスが満ちている。
それはトータルタイムが約35分という事実も、その切れ味の良さを表しているだろう。
とにかくメロディがいい。黄金の曽我部節といっても差し支えないかもしれない。
サニーディを髣髴とさせるような宝石のようなメロディ(特に「結婚しよう」とか、凄い良い)を
今の曽我部恵一が、ロックに特化したようなはじけたスタンスで熱唱している。
ソロになってから彼の音楽に興味が無くなったと言う人も、今作はちょっと聴いてみて欲しい。
一曲の「天使」の独特の歌詞の世界観に興味をそそられ、「結婚しよう」の美メロと若々しく洗練されたバンドサウンドに
一気に引き込まれて、35分間ずっと幸せな気分でいられる筈。自分はそうでした。
また原点回帰をしている作品でもあるだろう。先行シングル「魔法のバスに乗って」は久々に切られた曽我部恵一によるシングルであり、
また曲調的にもサニーディのデビュー曲、「青春狂走曲」を髣髴とさせるラップみたいなA〜Bメロから
開放感のあるサビに一気になだれ込む渾身のシングルだ。これは本当に切って正解だったと思う。
歌詞の内容的にも正に今を生き抜くための歌詞というか、シビアなことも歌っていて単なる楽観的な歌ではないのがいい。
エンディングを迎えるのにふさわしい一曲。 と、共になんと「青春狂走曲」のセルフカバーも入っている。
もちろん以前のものとは感じが違うものの、バンドのデビュー盤にこの曲、というのはファンとして感慨深いものがある。
なんというか、ずっと曽我部ファンでいて良かったと素直に思える。
「天使」「結婚しよう」「魔法のバスに乗って」・・・ロックの名曲が沢山詰まった本当に素晴らしいアルバムだと思う。
彼に興味が無い人・または失くした人もこの作品は手にとって聴いて欲しいです。
また彼が歌わず、他のメンバーが歌う曲もあったりと、より「曽我部恵一BAND」で出す意義も強まった作品。是非!
P・T・A! ~ピストルズ・トリビュート・アンセム~
参加アーティストがピストルズからの影響をどのように
かいくぐって来たのかが感じられる一枚。
ピストルズ以降数多のパンクごっこが有名無名に限らず現れて来たのだろうが
このアルバムに登場するアーティストたちは、パンクを自分のものとして見事に体現している。
わたしは特にEMIの洒落っ気に脱帽。
曽我部恵一BAND
冒頭曲“ソング・フォー・シェルター”から、言葉が溢れ出て止まらない。このアルバムは、言葉のアルバムだ。最近で言うと、andymoriの『ファンファーレと熱狂』に匹敵する、鋭くも優れた言葉でいっぱいのアルバムだ。曽我部には言いたいことがありすぎた。そして、全てを吐き出した結果、このアルバムはトータル15曲70分の大作になった。
しかし、このアルバムでは、曽我部は明確なアジテーションはしない。それでも、彼が紡ぎ出す言葉には怒りや悲しみがべっとりと貼り付いているのが分かる。それは“永い夜”のような激しい勢いを持つものではなく、どこか失意や諦念を伴ったものだ。僕は、何となくサニーデイの『24時』を思い出した。が、今は『24時』が出た世紀末とは違う。モラトリアムはとっくに終わり、色々なものがねじれて壊れつつある。もう何か全然違う。
新世紀の始まりあたりから、誰もが決定的な違和感をどこかに抱えたまま、本音をしまい込んで無機質に過ごしている。そんな今という時代の歪みは、さきの震災でも浮き彫りになった。それでも僕達は何もしない。さらに大きくなった違和感と共に毎日をやり過ごしているだけ。人も、社会も、どうにもならない。でも、曽我部みたいに、僕達の代わりに言葉を吐き出してくれる表現者がいる。そのことに僕は、ほんの少しだけ安堵する。
KAIKOO MEETS REVOLUTION [DVD]
この場にいた一人として一言書かさせていただきます。このフェスにはある種の理想主義が貫かれているが、現実的な問題も多いと思います。フェスの雰囲気を一言で言うと手作りの文化祭。会場のZAIMも学校みたいだしステージは教室の一角。一部屋がそんな教室くらいのスペースだから人がギューギューになると後ろのほうだとステージはなにも見えない(ステージもほんの少し段差があるだけ、なにせ天井が低いから)。混雑すると移動も大変だった。別にピースフルが満ちてるばかりじゃなかった。事故が起きてもおかしくない。あの会場でフェスをやるのは無理がある。やるならもっと無名のアクトでやらないと。例えばTHA BLUE HERBには狭すぎた。そのTHA BLUE HERBがDVDに収録されてないのも納得できないな。いろんな事情があるのだろうけど。
確かに二日間を無事に成功に終わらせたのは意義があったと思うけど理想主義だけではフェスは定着しないと思う。ロッキンオンとかのアンチをうたうなら現実的な問題も解決して多くの人が楽しめるフェスを作っていかないといけないと思う。