GIRLS' ROCK ~Tiara~
カバーアルバムってオリジナルを超えるケースは少ない。
トリビュートとか呼び方を変えて機材が最新の物になり、曲調も現代的にアレンジして、歌唱力その他オリジナルより技術的に上でも大抵の場合オリジナルの楽曲に思い入れがあって「どうなってるんだろう?」という興味本位で聞く場合が多いから一層がっかりするケースが多い。
で、このアルバム。
デーモン閣下には「蝋人形の館」か相撲のコメンテーターみたいなイメージがあったのですが聞いて驚きました。
オリジナル曲の大半を知っていますが、オリジナルとは全く別次元で吸収され昇華した違う曲になっている。
男性が代弁する女性の気持ちではなく男性でも女性でもない(そもそも悪魔?)のデーモン小暮が曲そのものを歌い込んでいて思ったより遙かに感動しました。
トリビュート曲に良くある男性曲を女性キーに合わせて迫力が失われるとか逆の女性キーを男性キーにしたが為に透明感や儚さが喪われるといった弊害が本作には見受けられません。
そもそも女性が歌っていた曲だから女性ににじり寄る必要なんてないのだと証明して見せてくれました。
中島みゆきさん結構好きなアーティストですが、こっちのバージョンの方がいいかもと感じています。
同様の女性ものカバーを三部続けておられますが圧倒的にこなれてきた本作がクオリティも高くて(個人的な選曲の善し悪しを除けば)お勧めです。
デーモン閣下のファンではない人で純粋にいい歌を聴きたいなという方にこそお勧めできます。
NEWS
日本が後世にまで誇るべき偉大なバンド、聖飢魔'Uの数ある作品のなかでも、後の「MOVE」と並び、歌モノとしての魅力が凝縮された一枚。
範疇としては、明らかにハード・ロック〜ヘヴィ・メタルの枠内にありながらも、Jポップリスナーの耳にもすんなり馴染みそうな刺々しさのない、シェイプアップされた音像は、いかにもな彼らを望む向きにはイマイチ物足りないかもしれないが、彼らの持つメロディ・センスが鮮明に際立つことで、新たな魅力を備えるに至っている。
曲一つ一つに優れたメロディがぎっしり詰まっており、名曲クラスの楽曲揃い。ハイライトは#4“Brand New Song”と#10“Save Your Soul〜美しきクリシェに背をむけて”であることは間違いなく、アップ・テンポの楽曲に乗るメロディが秀逸無比。「ホントにイイ曲って、こういうのをいうんだろーな・・・」と一人で感動しつつも鬼リピートを繰り返した日々が懐かしい・・・(ToT)
個人的には#6“No Good News Today”が嗜好に合わないものの、それ以外はリピート、リピート、リピート!!!の楽曲揃い。
いや〜、ほんとにいいバンドだわ〜。
同じ時代に生きられたことに、マジで感謝!
冗談抜きで、日本で最高のメタル・バンド。
GIRLS’ ROCK Best(DVD付)【初回生産限定】
閣下の美声に驚きを隠せない。二十年前じゃないんですよ? 女性曲のカバーですよ? ガールズロックシリーズのベストだけどどれも凄かっただけにこの一枚十曲と言うのは余りに無体だ。堪能できる一枚で十分星五だが一個引いて四に。
GIRLS' ROCK Best
これまで発表した「Girl's Rock」シリーズの中から選りすぐりの曲+新カヴァー曲を2曲含むベスト盤。本作に限らずベスト盤という物は、「これを入れるなら、あの曲を」「なぜ、あの曲が入ってないんだ!?」と個人個人、様々な意見をお持ちかも知れないが、「Girl's Rock」シリーズの一通りのポイントは押さえられていると思うので、初心者入門編としては最適な1枚と言える。
改めて「Girl's Rock」シリーズ3作の楽曲を聴き返してみると、1作目は、日本側とスウェーデン側が、まだお互いの事を深く知らなかった為か「各人、与えられた仕事をキッチリやりました」という風に今となっては感じるが、アンダース・リドホルム(b)とオーラ・アフ・トランぺ(g)がツアーに参加した直後に制作された「Girl's Rock〜tiara〜」は、08年のツアーの熱気と興奮が、そのまま作品に昇華されたかの如く楽曲の解釈・アレンジが大胆になっている。
これまでの作品を全部持っているファンにとっては、本作の目玉としては新カヴァー曲の2曲であろう。「魅せられて」は、けたたましいピアノと、低音が響くストリングスが交差する、緊張感のあるイントロに始まり、サビのバックで使われているマンドリンは、楽曲を煌びやかに彩り、中間部のオーケストラ・アレンジは楽曲をより壮大に盛り上げている。「赤いスイトピー」は、グランド・イリュージョンの「バトル・フォー・ユア・ハート」を思わせる重層なキーボート&コーラスが特徴的で、オーラが弾く、天空に舞い上がるような、美しいギター・フレーズにも注目。
「北欧のハード・ロック」と聞いて連想するのは、透明感、良質なメロディ、哀愁・・・等であるが、「Girl's Rock」シリーズは正に、悪魔であるデーモン閣下と、北欧ハード・ロックの遺伝子を受け継ぐアンダースの才能が融合・調和し誕生した魔法である。閣下が「歌いにくい」と言う、アンダースの起伏に富んだ複雑なアレンジは、クラシックがルーツである北欧人特有の物で、これをもし、カントリーやブルーズがルーツのアメリカ人がアレンジしていたら、全く違う「Girl's Rock」になっていたはずである。オーラのギター・プレイも北欧的で、日本人とは音の選び方、フレーズの組み立て方が違う。また、オーラが奏でるギターのトーンは、一音一音が水晶玉のような透明感と輝きに満ちており、「Girl's Rock」のサウンドを形成する上で重要な役割を果たしている。閣下と北欧の才能のあるミュージシャンは、運命によってめぐり会い、数々の魔法と伝説を生み出した。それが「Girl's Rock」シリーズであり、本作はそれの集大成作品である。