名探偵はもういない (講談社文庫)
章立てといい、挑戦状といい、筆者らしい遊び心と丁寧さに満ちた良質なミステリ。
丁寧さにこだわったためと思われる盛り上がりの無さが、エンターテイメントとしては弱いですが、一歩間違うと、バカミスに流れそうなところをぎりぎりで踏みとどまっている感じが個人的には大好きです。
でも、相変わらず、ロマンス場面はなんだか恥ずかしがって書いてるでしょう?というニュアンスが出るのは筆者の特徴か?
最近すっかりご無沙汰の開かずの扉外伝として読むのも面白い。
六月はイニシャルトークDE連続誘拐 私立霧舎学園ミステリ白書 (講談社ノベルス)
本格によくある遊びの詰まった本です。
著者(霧舎巧さん)の開かずの扉シリーズの『カレイドスコープ島』を読んでいると思わずニヤリとすること間違い無しです。
琴葉パパ登場です♪
新・新本格もどき (カッパ・ノベルス)
新本格作品をネタにした連作短編集です。各編の題名は以下の通り:
「人狼病の恐怖」
「すべてがXになる」
「覆面作家は二人もいらない」
「万力密室!」
「殺人史劇の13人」
「夏と冬の迷走曲(どなた)」
「<おかずの扉>研究会」
はっきり書きます。これらの元ネタの題名と主要登場人物の名前がすらすら出てこない方には向きません。
一編一編が起承転結のある短編推理小説であると同時に、共通の登場人物が存在し全体として一つの物語を作ります。なのでパスティーシュというわけでもなく、新本格作品を「ネタにした」「もどき作品」というしかありません。ネタを知っていればにやにやし通しです。「殺人史劇…」では、可読性を捨ててまでネタ作品の構成をなぞり、「夏と冬の…」ではアレをネタにしていると思いきや同じ作家の別のアレをなぞりだし、といった恐ろしいまでの凝り方。
そんなにまでしていながら一応は破綻無くまとまっており、良く連載でこんなの書けるものよと思いますし、よくもまあこれほどマニアックなものを出版するよ流石カッパは偉いなあと思いますけど、どう見てもマニアしか喜ばないでしょうから星三つにしておきます。
ラグナロク洞 《あかずの扉》研究会影郎沼へ (講談社文庫)
目玉(?)となるのはダイイングメッセージ講座と、犯人の偽装を含めて人が死ぬ度に様々なパターンで現場に残されるダイイングメッセージでしょう
ですが、このダイイングメッセージ講座。著者のこだわりは汲み取れるにせよ、内容自体は関心するでもなく不満でもなく……。可もなく不可もなく。要するに、「そんなの言われなくても分かるよ」的な印象…
犯人の犯行ルートのトリックは大仕掛けの印象を与える割に大したことはなかったです
その逆に、被害者に隠された所謂ミッシングリンクはなかなか良かったかと
総評として、悪くないミステリーだったと思います♪