逆説の日本史 14 近世爛熟編 (小学館文庫)
井沢氏が生きている間にはてさて、完結するのか気になっている今日この頃、ようやく最新巻。
本シリーズは友人・知人のビジネスパーソンにお勧めしたいのでありますが、毎回なかなか勧めにくい分量であるます。
その中で本巻は是非忙しい&今まで逆説シリーズを読まなかったビジネスパーソンに読んでほしいと思います。
1. 忠臣蔵という日本人に馴染み深いテーマで、「常識を疑う」という所作を学べる
著者は忠臣蔵という我々が幼いころから漠然と慣れ親しみ感動してきた日本人とある意味切っても切れない「物語」が実は様々な思惑の元ねじ曲げられた可能性があることを、その当時の見方、資料をもとに解き崩していきます。ある種、「常識」として刷り込まれた忠臣蔵の真実を、まさしく「炙り出す」所作に、我々は「常識を疑う」という姿勢を学ぶことができます。
2. 「歴史」という視座を学べる
我々が日本史の授業で「生類憐れみの令という悪法、それをつくった徳川綱吉という「バカ殿」と習います。これに関しては、「当時の見方」だけでなく、長い歴史という時間軸から、「生類憐れみの令」という社会的イノベーションを考察します。またこの社会的イノベーションを発生せしめた徳川綱吉という「名君」。彼を「暗君」として歴史で教えている以上、日本に本当の意味での「政治家・リーダー」は現れないのではないでしょうか。
3. 日本のビジネス慣習の原点
まさしく、日本において「日本流資本主義」が芽生えた時代として、三井、住友、鴻池の祖の考察を行います。本書内では使われない言葉ですが、まさしくそれは元祖日本の起業家たちの素顔です。彼らは良い意味でも悪い意味でも、日本の商習慣・商倫理の基礎をこの時代に確立しました。海外でビジネスを行うものとして、一度は「何故日本はこんなに海外で鴨にされるのだろう」と思ったことはあるはず。ここにその原点がある。しかし当時としては、この起業家たちによる「イノベーション」が日本国内のビジネスを一気に加速させたと言えるでしょう。
これらをバランスよく理解できる本書はビジネスパーソンにもおすすめできる一冊です。
「誤解」の日本史 (PHP文庫)
逆説の日本史を愛読している者にとっては周知のことである。
例えば、天智天皇暗殺説。日本書紀の作者は天武天皇の息子である。息子が父親を悪く書くわけがない。
また、奈良の大仏について、長屋王の怨霊封じのために作られたが、効果がなかったので捨てられたという。
その他、徳川綱吉は実は名君だったとか、源氏物語は怨霊鎮魂の物語だった、織田信長のした安土宗論は八百長ではなかったなど。
史料絶対主義に陥るのではなく、人間の常識で歴史を見ていくと、違った見方ができるのである。
井沢史観については賛否あるようだが、この本は説得力の点で優れていると思うから星5つとさせていただきました。
[ビジュアル版] 逆説の日本史4 完本 信長全史
ビジュアル版というだけあって、写真を見るだけでも充分楽しめる。岐阜城からの濃尾平野の絶景は、ああ、信長に天下統一を誓わせたのは、この景色だったに違いないと思わせる雄大なものだし、浅井長政とお市が散った小谷城の深紅の紅葉、安土城の古写真や発掘前、発掘後の写真、信長も楽しんだであろう津島天王祭りの写真、織田発祥の地・越前剣神社、信長遺愛の品々など、これまでの信長本ではカバーしきれていなかったものを見ることができる。
ビジュアル面だけでなく、内容も充実。信長の戦い、城、思想など、細かく分析。安土宗論では、一般的に言われている「浄土宗が勝つように信長がわざと仕組んだ」という説を否定し、まっとうに史料を読めばこうなる、という説を展開している。これまでありそうでなかった信長の精神分析や、信長の子孫たちが登場する記事も必読だ。
一級資料の古文書を惜しげもなく見せてくれているのもありがたい。
また、信長のみならず、同時代を生きた他の戦国武将たちの足跡に関しても、抜け目なく紹介している。信長包囲網のその後や、名門武田家の最後など、かゆい所に手が届くとはまさにこの本のことだ。
とにかく、あらゆる方面から信長と信長が生きた時代を紹介、分析してくれているので、信長ファンのみならず、手にとることをオススメしたい。まさに、完本。
逆説の日本史(11)戦国乱世編 朝鮮出兵と秀吉の謎 (小学館文庫)
毎回、新しい視点から歴史を考察し読者を驚かせている井沢氏。やっと最近戦国時代まできて、今回は豊臣秀吉を掘り下げる。
秀吉の指が6本あった、広くは知られていない驚愕の事実から本書はスタートし、本能寺の変以降、晩年である朝鮮出兵までが書かれている。
秀吉がいかに織田一族を葬り去ったか?よくよく読めば彼がいかに天才であり、また運にも恵まれたかが理解できる。
いやしい身分からの天下統一。彼の人生には興味はつきない。戦国になりメジャー名前が登場し、これから読み始める人にも違和感はありません。
さあ、もうすぐ江戸時代。続編が楽しみです。
逆説の日本史13 近世展開編 江戸時代鎖国の謎 (小学館文庫)
綱吉名君説は、井沢氏の「日本史集中講座」を読んでいたので、一応は知っていたのですが これを読んでやっと腑に落ちました 「和」の意味も儒教の徳目のようなものと、考えたらいいんですかね?
しかし、スペインやポルトガルの衰退を出して日本の鎖国を褒めるなら、英国と米国の繁栄はどう説明するのかと、新たに疑問が生まれてしまいました