太陽の帝国 特別版 [DVD]
主人公の少年ジム役はバットマンやターミネーター4でお馴染みのクリスチャン・ベール。
当時13歳の彼を4000人の応募者の中から抜擢したスピルバーグの慧眼は流石である。
本作が発表された1980年代のスピルバーグは、ルーカス原案の「インディージョーンズ・シリーズ」と大作人間ドラマの二本立てで映画を製作していた。プロデューサーとしては「バック・トゥ・ザ・フューチャー三部作」を大ヒットさせ、まさにキング・オブ・ハリウッドに君臨していた時代である。
一方でアカデミー賞では10年以上にわたって煮え湯を飲まされ続けた訳だが、「ジュラシック・パーク」と戦争映画に専念した90年代、二度のオスカー監督の名誉に輝く。
映像特典のドキュメンタリーには、撮影現場で指揮を採るそんな若き巨匠の姿が満載だ。原作者のSF作家J・G・バラードが出演し解説するのも今では貴重な映像である。
「太陽の帝国」の主人公ジムは戦争体験を契機に少年期の別れに成功するが、スピルバーグはまたぞろ性懲りも無くピーターパン映画に大金を使い、駄作と酷評される愚を犯してしまうのだが。スピルバーグが本当の意味でチャイルドディッシュ癖を脱するのは「プライベート・ライアン」撮影時だと思うのだが、二度と「E・T」のような映画は作れないと独白を聞くと、淋しいのも事実である。