千曲川のスケッチ (新潮文庫)
この本をおもしろいと思って読む人は、どこを旅してもおもしろいと思うのではないだろうか。
際だったことが書いてあるわけではない。小諸では、強いて言えば「懐古園」が有名だけれど、その半分は藤村に負っている。だから、この本に懐古園のことは地味にしか書かれていない。この本のようなスケッチが描ける地方はたくさんある。でも、実際、この本にもおもしろいことはたくさんあるんだよね。
今回、読んでみて、この地方の百年前の姿、四季の風物や年中行事、人々の姿を目の当たりにする思いがした。実は、その半分は、「週刊にっぽん川紀行」の創刊号「千曲川」(学研発行)と併せて読んだことに負っている。で、おもしろかった。ほぼ、百年に近い月日を隔てて、異同が見えるからで。
私は千曲川流域の旅を何度か試みてきたが、その度に、この本の記述のいくつかを思い出す。この地域の日常をリアルに描いているところは、紀行文としても優れているものだと思う。もちろん、このリアリズムは、読む人にいろいろな想いをもたらすはずで、それ故に、この本を読んで千曲川紀行をすると旅が奥深くなるにちがいない。とりわけ、観光地巡りやグルメ旅に飽き足らなく思う人に、これらの本を携えて千曲川の旅をしてみたら、とお勧めしたい。
母の歌~日本歌曲集
「無名時代(笑)」と彼が呼ぶこの時代の歌唱は大変貴重です。
宮崎駿監督「もののけ姫」という大変なビッグネームな監督の映画主題歌を歌ったことで、スポットライトを浴びて羨望や期待またカウンターテノールという特異な存在に対する『興味本位の見られ方』が彼の音楽人生を一時は狂わせもしました。
今の彼には迷いは見られませんが、宗教曲・日本歌曲のスペシャリストである彼の原点を、多くの方々に知っていただきたいです。海外での研鑚・リサイタルやオペラへの出演など今後ますますの活躍を期待できる、大変優秀な歌手のひとりです。
夜明け前 (第1部 上) (新潮文庫)
木曽に行ってきた。
山中は真夏なのに涼しく、下草を払われた針葉樹林は、木々濃いのに森のもつ不気味さがない。
人の手により整えられ、人と共存してきた山なのだ、と感じた。
針葉樹が虫の嫌がる成分を発散しているのか、半日歩いて一箇所も虫に食われなかった。
巨大な火成岩を流れる木曽川の上流は冷たく清浄で、苔も薄い。
6月の台風で倒れたばかりの檜の大木を見た。根にいくつも大きな石を抱え込んでおり、樹高の割に根が浅い。
なるほどこれでは風で倒れるわけだ、と合点した。木曽の山は地味が薄いのだ。
文中には木曽の山の描写が溢れている。木曽五木をはじめ、樹木もひととおり紹介される。
またお六櫛、ねずこの下駄、ずいきなど木曽の名産もちりばめられている。
旅行ガイドとしてもおもしろく読めた。
木曽路では文中に登場した地名が目にとまるたび、その場面が脳裏に浮かび、当時の面影を残しているだろうと推察される場所あり、アスファルトの三叉路に変わったところありで、どちらも感慨深い。と
破戒 (まんがで読破)
マンガだから読める本だった、小説ではたぶん読まないだろう。メッセージ性の強いものはマンガのほうが伝わるし、表現がストレートでわかりやすい。今は埋もれた古典の名作もマンガならもっと蘇るんじゃないかという可能性を感じた。
日本の心を歌う
日本人離れした声です。
心の奥にまで届く、響きのある歌声に感動しました。
このような深みのある声で歌われた日本の歌は
今まで聞いたものとは別の曲のように聞こえます。
こんなにいい曲があったのかと、あらためて日本の歌の良さ
日本語の良さを感じました。
今の子供たちにも是非、このような本物の歌を聞かせたいと思います。
おすすめです。