少女地獄 (角川文庫)
「少女地獄」シリーズに含まれる三作ほか、短編3編を収録しています。
いずれも夢野久作独特の世界観や文体は健在ながら、ストーリーは筋を通し、終始一貫した形を取っています。ですから、ドグラマグラであまりの眩暈に襲われ、最後まで読みとおせなかった人でも気軽に夢野ワールドを体験できるのではないでしょうか。
私のお薦めはなんと言っても「少女地獄」中の1作、「何でも無い」。ある開業医の前にあらわれた、天才的看護婦にして美少女・姫草ユリ子。誰もが無垢なる彼女を愛し、信頼する。しかし彼女は・・・というお話。
この話のポイントは、虚構の世界を生み出し続ける姫草ユリ子という存在そのものが実は虚構である、という点でしょう。だからこそ彼女の生み出した虚構全ては無限に増殖しながら、姫草ユリ子という虚構を支え続ける、というメビウスの輪のような状態を呈することになります。
物語の冒頭、一通の手紙が告げる彼女の結末すらも虚構に彩られており、膨大に構築された虚構の「仕組み」が、私達を翻弄し続けるのです。
地獄少女R(1) (講談社コミックスなかよし)
1 憧れが度を越して悲劇となる少女
2 不倫親父を親に持つ少女のけなげな願いとは
3 ロックバンド「HellGIRL」のライバルバンドの卑劣な行為
4 料理の上手な少女の悲劇
などが収録されています。
ストーリーは新規に書起こされているので新鮮に楽しめます。
対象年齢が考慮されているのでエグイお話でも直接的な描写がないので安心して他人にもお勧めできます。
Rからのお嬢はかなり表情豊かでかわいいです。
本編でもギャグ顔になったり、バンドを見て興奮してドリンクをこぼしたり、幼女とピアノを弾いたりしています。
一番衝撃的だったのは良い意味で「HellGIRL」でした。
あのようなポーズと表情のお嬢が見れるとは夢にも思いませんでした。
先生今後もよろしくお願いします期待しております。
地獄少女 7 [DVD]
晴らせぬ恨みを代わって晴らしてくれる地獄少女・閻魔あい。彼女に依頼するしか無くなった者達の苦痛や葛藤、依頼される側の者達の業の深さや醜いエゴ等を正面から描いた異色作。ファーストシリーズもいよいよ佳境に差し掛かり、物語の本質的なテーマが改めて投げかけられます。
ここまでで最も救いが無い結末が描かれるシナリオ面、暗色が多用されている作画面、暗めのキャラクターデザイン等、非常に鬱な合いが濃い第19話と、このシリーズにしては珍しく、キャラクター面、演出面ともにお笑いの要素を多く含んでいる第20話。あらゆる面で非常に対照的なこの2つのストーリーが並んでいる点に先ず注目。特に20話はここまで築いてきたイメージをぶち壊しかねない危うさがありますが、一話位はこういったアクセントも面白いと思いました。前巻のスタッフミーティング内でも語られていたように、企画段階ではこのようなお笑い要素も結構考えられていたそうで、こういったギャップを見せることで、本来の鬱な雰囲気をより強める演出ですね。原案者がここまで捨て身で出演している点は評価できると思いますよ。勿論許せないファンも多いでしょうが。
第21話では初めてリドルストーリー的な演出がなされています。依頼者は柴田親子と縁のある少女。身近な少女だけに一とつぐみの対立も激しくなる訳ですが、果たしてどちらが正しいのか?そんな問い掛けを視聴者側に投げかけているようなラストとなっています。なんとも複雑な余韻を残すストーリーですね。結局優子はどちらを選択したのか?判断は視聴者に委ねられている訳ですが、物語のクライマックスを前に、全体のテーマをもう一度浮き彫りにして意識付けをさせるような演出はさすがに巧みだと思います。
蛇足ですが、何度も肥溜めに捨てられる輪入道といったギャグ色も含んでおり、前話同様、スタッフ陣の暴走と言うか、ある種の開き直りも楽しめる要素ですね。
瓶詰の地獄 (角川文庫)
「瓶詰の恐怖」は読者の想像力に訴え、残酷さと哀感を喚起させる傑作。作者の代表作と言っても良いと思う。
作品の構成はシンプルで、1通の通知書と3通の手紙から成る書簡体小説である。通知書の内容は、ある島の海岸で3本のビール瓶を回収したので送付するとの事。問題はビール瓶の中の3通の手紙である。読者に示される最初の手紙は、無人島に流れ着いた兄妹の絶望の遺書である。兄妹は既に幻想を見ている。そして、示される手紙の順番が巧み。読者に示される手紙を順番に読むと、兄妹が味わう煉獄の苦しみ、悪魔の誘いが読者にヒシヒシと伝わって来る。最後に示される、カタカナ2行のあどけない手紙が哀れを誘う。兄妹の所有物に聖書があった事からして、モチーフは"アダムとイブ"なのであろう。それが、無垢→煉獄の苦しみ→禁断の所業という兄妹の運命に見事に反映されている。
他の作品も佳作揃い。特に、美少女を襲う恐怖を描かせたら天下一品だと思う。作者の幻想性と狂気の世界を味合うには持って来いの短編集だと思う。
地獄少女 二籠 オリジナルサウンドトラック
このCDには、二籠から新たに使われだした音楽の9割ほどが収録されています。(収録されていない曲 6話「どうせ俺には、何もできねえよ」のシーンと、11話「ところで、(猫の)名前決めた?」のシーン)
従来のに比べて、声を多用する音楽が増えている気がします。アニメではしょっちゅう流れてくる音楽でも、全部通して聴いてみると「ほう、途中はこんな旋律もあったのか」と意外に思える面もあって楽しめます。欲を言うとOPも入れてほしかったんですけどね。
なお、やっさんさんのご指摘されている未収録だったそれらの音楽は、すでに市販されているサントラに収録されていますよ。