蒼穹の昴 DVD-BOX 2
DVD−BOX1に続いてレビューを書かせて頂きます。
このBOX2には☆5つをつけさせて頂きました。理由を申し上げます。
エンディングに、非常に感銘を受けたからです。
小説はさらに複雑な人間関係や、ドラマとは全く違う部分がありましたので「どういう風に終わるのだろう?」と興味深く観ていました。が!・・・ああいう風に終わらせたのか!・・・と、やはり監督汪俊氏の作り方に本当に感銘を受けました。(あえてここでは申し上げません)
また、梁文秀の賢妻・青'の死や、その後文秀がミセス・チャンやトーマス・バートンの助けを得て日本に出立するところなど、非常に見ごたえがありました。また、田中隆三さん演じられた柴五郎とミセスチャンの会見シーン(彼女は流暢に日本語を理解できるのに、柴大佐の前では知らないふりをしたところ)や平田満さん演じられた伊藤博文の登場シーンんは重みがありました。欲を言ったら、もう少し田中さんや平田さんの演技が見たかったな(苦笑)。
あとは、特典映像や、ブックレットの充実を希望致します。
蒼穹の昴(3) (講談社文庫)
地主の次男、梁文秀(史了)とその地の貧民の子、李春雲(春児)。
科挙登第を経て国政を担うこととなる史了と、宦官という
方法で内廷のトップまで上り詰めた春児。
二人の男(!?)を通して、清代末期西太后が実権を握っていた
王朝内部の動乱とそれにかかわる人々の思惑を描いた
壮大な歴史小説。
読み進めていく中で感じたのは、日本の幕末との
共通性。もちろん、時間的共通性もあるんだけど、
欧米列強のプレッシャーを受けながら、従来の
権威をいかに保つかという苦心と、国を存続させるためには
改革を進めなければという維新の思いとのせめぎ合い。
違いは、日本が明治維新という中からの改革で国体変化を
成し遂げたということと、日本が列強の側に加わってきたと
いうことか。やっぱり中国は大きな国過ぎて、紫禁城の
中にいては危機感が伝わってこないのか。
現代の中国も変革が必要な時期に来ていると思うけど、
そこはやっぱり歴史を学んで、中から変わっていって
もらわないと。「党」という「王朝」も絶対ではないのだから。
結局、4月の北京旅行前に読むことは出来ず、旅行の
帰りから読み始めたこの本。途中で出てくる地名だとか、
建物の名前は、実際行ったことで具体的にイメージしながら
読めました。そういった意味では、行ってから読んで
よかったのかなと思いますが、読み進めるにしたがって、
あっ、ここも行ってみたかったななんて思うところも
また出てきたりして。
なので、来月の休みのときにまた北京に行ってみようかと
思ってみたりもして。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫)
前半はエンタメとして抜群におもしろい。宦官、科挙、異民族に征服されて誕生した清王朝の歩み、宿命を告げる占い婆など、中国の歴史モノに期待されるスケールの大きな道具立て満載で、徒手空拳の少年/青年二人の、運命に導かれた悲壮な出世譚を描く。
いただけないのが、登場人物が増えて絵巻風になる後半。愛を知らぬ中興の祖の皇帝、国を憂う老将、列強国の記者達、国を捨てた宣教師、「確信犯の暴君」という新解釈で描く西太后、など、浅田らしい人間味あふれるキャラクターがこれでもかとばかりに大挙して登場してくるのだが、物語の根幹となる歴史のダイナミックな流れと、各登場人物の造形やプチエピソードがうまく融合せずに違和感が募っていく。急にひょうきんな幽霊にキャラチェンジする乾隆帝、愚鈍なはずが最後で突如粋な気遣いを見せる若君に変身する載沢殿下、あたりはまだしも、前半の主人公二人が完全に埋没して顔が見えなくなってしまうこと、王朝を終わらせるという重責を背負った確信犯のはずの西太后が単なる本当に愚かな老女としてしか描けていないこと、この2点が何よりも痛い。「作家の想像力を駆使した歴史の新解釈」のはずが、不出来なでっちあげに堕した挙句、歴史との辻褄合わせに終始、最後はいつもの人情節でお茶を濁した印象。
新境地、野心作たりえた作品が、結果的にいつもの浅田の、「狭い範囲での、憎めない悪役や善人ばかりが登場する都合の良い人情劇」に矮小化された感がある。魅力も欠点も、実に浅田らしい作品といえるのではないだろうか。
You were... / BALLAD
正直浜崎あゆみの限界を感じてしまった。
2009年に出したシングルもアルバムも駄作ばかり。
『NEXT LEVEL』は駄作ではあるもののまだ実験性や革新性があったけど
その後のシングルはホントにひどい。
あまりに酷くはないかい? これは…。
楽曲も10年前ならアルバムにも収録できないようなレベルだし
あの頃の彼女とはまったく違う歌詞。
進化してるならまだしも確実に退化してる。
上っ面だけで深みがまったくない。中学生のポエム以下。
でもそれらはまだ小さな問題でしかない。
最大の欠点は歌とも呼べないようなビブラートと歌唱力の低下。
彼女のファンは本当に今の歌唱法に満足しているのだろうか…。
10年前の彼女は輝いていた。J-POPの女王として文句なしだった。
全盛期を知っているだけに寂しくなる。
蒼穹の昴(上)
全面的に否定するわけでもないのですが、浅田次郎は少々巧すぎます。そして、その巧さゆえに、浅田次郎の書物から手を引いている方も少なからずいらっしゃるのではないかとも思います。ですが、それはこの作品を前にした時、正直、「愚」の選択だと思います。この作品は違います。巧さを超えています。乱暴に言い切ってしまえば、浅田次郎を超えています。浅田次郎が物語を支配しているのではなく、この物語が浅田次郎を突き動かしているような感じさえしてくるのです。中国の宦官、科挙制度のリアルな描写、西大后に対する新しく魅力的な解釈、・・・ 惹きこまれます。そして、惹きこまれたまま、この清朝末期の怒涛の時代の波に翻弄されつくされてしまいます。・・・ 間違いなく、物語の力に呑まれ、ただただ、夢中に読まされてしまうという本読みの悦楽を十二分に味あわせてもらうことのできる作品です。