辛酸なめ子の現代社会学
下ネタも多いのに
なぜか嫌らしい気がしない
育ちがいいんだろうな〜と思います。
コワイことも哀しいことも
力なく笑い飛ばすような作風は
ほんと、クセになる。
一見ぼーっと無害のような作者ですが
するどい視点がまさに毒爪のように読む人の
無意識をかかじる。
これも一種のSMプレイでしょうか。
辛酸なめ子の奴隷になりそうです。
次元上昇日記 (幻冬舎文庫)
メディアなどでもお馴染みの辛酸なめ子の新作は、
TSUTAYA.comとWebマガジン幻冬舎で連載された
日記をまとめた文庫本です。
自身の取材や活動などのアナザーストーリー的な
日常を描いていますが、決して一般的な日記や
雑記に終わらず、「次元上昇」するための
行動が散りばめられ、これまでの作品同様に
読者を楽しませるツボが押さえられています。
個人的には、パーティなどの会合で
うまく打ち解けられない様子に共感を覚えたり、
田縣神社の御神体(男性器型)を
前にした対応に笑わせていただきました。
ちなみに、購入者特典として
特製サイン入り年賀状が全員に届けられます。
Webマガジン幻冬舎の特設ページ経由で
すでに申し込みをすませたので、
今から届くのが楽しみでなりません。
その際に必要な本の帯は、
捨てないように注意しましょう!
(アマゾン購入の場合は注文番号などが必要とか)
女子校育ち (ちくまプリマー新書)
筆者同様6年間女子校で育った自身からすると
本著に書かれている事はほとんどすべて
ノンフィクションであると言える。
辛酸氏とも世代同じくする自身は地方の出であり
本著で紹介されていたほどの女子校の数は無かったがため
自身の出身校にいた生徒は、都内の女子校の特徴のほぼすべてを凝縮した内容だった。
モテ系、性超越系、夢見る乙女系、と学校別に分類されていたが、
その個性を持った生徒達が網羅されていた。
筆者の慇懃無礼で時に自虐的、嫉妬ねたみの視線やコンプレックスも露にしつつ
女子校育ちと共学育ちの女子と、取り巻く男子も先生も父兄も斜に構えて
ちょろちょろいじくる切り口にニヤニヤしながら読了した。
書かれている内容のほとんど全てが
「知ってる」「そんなことあった」「そんな子いた」「それ、やった」だらけだったのが若干コワくもあった。
そうだったのか!と思ったのは
「女子校育ち」は男を見る目が無い、のくだり。
「うちの学校を出た子は、ずーーーっと結婚しないか、しても離婚するかのどっちかに対分される」という先輩の言葉が
フラッシュバックされた。
そう、男がいなくてもやれてしまうという間違った思い上がり、
おだててうまく扱う方が男はラクという操り方が身に付かず、ストレートにバカにして返り討ちにあうというくだり。
無自覚ってコワい。ここは良い事を知った。
そこさえ踏まえる事が出来れば、女子校育ちはなかなか強いモノだと思う(が、環境が故身に付かない)。
女同士の争い、よりは、うまくお互いに褒め合って陥れ合う事の無いおおらかさは女子校育ちならでは。
この気質がそのひとの雰囲気として醸し出され「女子校育ち」を嗅ぎ分ける術となっているのかもしれない。
10代の頃を思い出して、非常におもしろかったです。
すべての女子校育ちの自伝足りうる一冊と言っても過言ではないかも。
共学出身者と相容れなさを、ふーーーーんわり書いてるあたりが、筆者の女子校育ちぷりを表しているように思う。