めぐる88(1) (電撃ジャパンコミックス)
お遍路さん、というあまりにも地味な題材、しかも決して上手くは無く、今風でもない絵柄…ですが、本作は紛れもなく良作です。
他人に流され易い優柔不断な草食系男子の主人公・太一と、ひょんなことから道連れになった自分勝手でわがままな美女・ハルカ、という2人の珍道中が描かれます。
題材が題材ですから派手さは皆無、大仰な展開とかもありません。描かれているのはお遍路によって生まれる些細な出会いと、それによって生まれる"救い"です。"救い"といっても「アナタは神を信じますか」的な宗教色の強いモノではなく、もっとちょっとした事から生まれる些細な"救い"なのです。もう単純に"癒される"と言ってしまっても良いかもしれません。
この巻での引きこもりの青年もそう、2巻で登場するリチャードの一件にしてもそう…共に誰かと歩く事で、その誰かを見つめ、そして自分を見つめ直す、という流れが、お遍路という題材のおかげか非常にスムーズかつ自然なのですね。
世の中には"癒し系"なんて言われているモノが氾濫していますが、真の意味での"癒し"とは誰かに与えられるものではなく、自らが歩き見つけ出すもの…この作品はそんな事を教えてくれている気がします。
正に「読めば分かる」作品、おススメです。
機動戦士ガンダム ゼロの旧ザク (1) (角川コミックス・エース 238-1)
少年兵が旧ザクに乗るという構成は、今までにあまりない様に思えました
MSその他のメカニック絵はとても綺麗で迫力があります。人間の方はお世辞にも上手いとはいえないものの、そのシーンごとに伝えたいものが表情に強く表れているように感じます
基本的にガンダム作品での嫌戦キャラはファンの方々には受け入れられ難く、人によって好き嫌いが激しく分かれる作品だと思います
また、度々繰り返される弱気な主人公イジメの描写には悪い意味でのチープさを感じました
『戦力としてはゼロみたいなものでも、誰かの役に立つことが出来るなら』
これは決して旧ザクが戦場で活躍する漫画ではありません、暗い戦場を必死に生きる一人の少年の漫画です