日本合唱曲全集「雨」多田武彦作品集
数少ない、男声合唱のみを扱ったCDです。
アカペラ専門作曲家:多田氏の作品には抒情的作品が多く、
男声合唱を経験した者であれば、多田氏の名を知らぬ者は恐らくいないでしょう。
日本合唱曲全集の中で、このCDが最も良く売れていたのもうなづけます。
このCDの目玉は、男声合唱組曲「雨」の中の終曲:雨です。
平易な言葉、平易な旋律、平易な和声の中に、
底の知れない人生への「問い」が込められています。
また、演奏団体は知る人ぞ知る、男声合唱の名門、京都産業大学グリークラブです。
この団体の歌った雨に勝る演奏が今後現れることは無いでしょう。
この曲の中で独唱を担当する、尾形光雄氏の声がまた素晴らしい。
他にも男声合唱の真髄とも言うべき作品がずらりと並んでいます。
どれも日本人の心を打つような作品ばかり。是非お聴き下さい。
銀の匙 (岩波文庫)
ほんとうに記憶だけで書いたのだろうか。
大人の書いた子ども、ではなく、子どもそのもの──
本書はまるで、小さい頃に綴っていた日記を久しぶりに
開いたような懐かしく繊細で清浄な光に満ちている。
繊細であればあるだけ人一倍被り感じるものの哀れに
始終涙を浮かべる少年は周囲の野卑な者の目には
確かに煩わしく見えることだろう。
そしてそれが為にますます人嫌いや憂鬱症に拍車をかけ、
うちなるもの・儚いもの・美しいものに心惹かれ
耳を傾けていく彼の心のうちが薄玻璃の花のように
痛々しく愛おしく感ぜられる。
文章も美しく、自然で衒いがない。
仲良しの女の子が遊びにくる時の足音「ぽくぽくちりちり」や、
鳥が飛び立つ時の羽音「たおたお」など、
擬音語や擬態語も澄んでいる。
いつか全文を手書きで書き写してみたいと思う。
犬―他一篇 (岩波文庫)
元々随筆や詩の分野で筆名高い作者で、創作小説は寡作といってよい中勘助だが、古代印度を舞台にした幻想的な本作は衒いのないエロティシズムと暴力的な愛憎が横溢する異端かつ至高の一編。名作「銀の匙」での甘美な郷愁を忘却の彼方へと一蹴する高圧的なテンション。しかしこれは紛れもなく恋愛小説であり、血と肉と骨が狂奔する熾烈な闘争、それも一つの愛の姿と謳う大正文学の隠れた金字塔である。
日本合唱曲全集 多田武彦作品集
数少ない、男声合唱のみを扱ったCDです。
アカペラ専門作曲家:多田氏の作品には抒情的作品が多く、
男声合唱を経験した者であれば、多田氏の名を知らぬ者は恐らくいないでしょう。
日本合唱曲全集の中で、このCDが最も良く売れていたのもうなづけます。
このCDの目玉は、男声合唱組曲「雨」の中の終曲:雨です。
平易な言葉、平易な旋律、平易な和声の中に、
底の知れない人生への「問い」が込められています。
また、演奏団体は知る人ぞ知る、男声合唱の名門、京都産業大学グリークラブです。
この団体の歌った雨に勝る演奏が今後現れることは無いでしょう。
この曲の中で独唱を担当する、尾形光雄氏の声がまた素晴らしい。
他にも男声合唱の真髄とも言うべき作品がずらりと並んでいます。
どれも日本人の心を打つような作品ばかり。是非お聴き下さい。