Tin Machine [ENHANCED CD]
もし【Tin Machine】というバンド、プロジェクト、この機会がなかったら、90年代ボウイの復活劇はなかったのではないかと、私は思う。
つまり、ギタリスト「Reeves Gabrels」とのアグレッシヴな共同作業はありえなかったであろう。
ボウイは本当に、自らのバンドのギタリストに恵まれている、というか優れたギタリストを選び抜いている。
この【Tin Machine】においても、ある種(いい意味で)やんちゃともいえるギターの炸裂ぶり、カオス的な展開は、聴いているものを、あちらこちら、縦横無尽に振り回す。
だが、何と言ってもボウイのボーカルがそれに負けじと力強く、バンド全体を牽引している。
ボウイのミュージシャンとしての才能は、という問いに、「その歌唱力」と答えたのはかのルー・リードだが、このCDを聴いてみて、本当にしみじみとその歌唱力を力強さを感じる。
確かに全曲妥協を許さぬハード・ロックである。ボウイのボーカルの「軽やかさ」「甘さ」は感じられないが、はなからそれを求めず、聴くものはボウイの底力を感じるだろう。
II
マニアックな(?)ファンの中には
『BOWIEの最高傑作』と呼ぶ方もいらっしゃるとか
私自身最高に好きな一枚です。渋いから!
9. ショッピング・フォー・ガールズ のギターが
たまりません…リーブス最高!
ボウイの新作出てないから今もっぱら聴いてます。
Tin Machine II
ボウイ自身結構力が入っている。曲も良いし本人曰く当初なんとなくバンドになった、というにはあまりにしっかりした内容に仕上がっており、底力をみせる。ボウイはソロが前作、前々作とコケてからのツアー中はシカゴ・ブルースばかり繰り返し聴いていたらしいが、当時を感じさせるアンニュイな「グッバイ・MR.エド」など彼の「ブルーズ」であり名曲だ。80’s以降のボウイの中ではこの曲が筆者は一番好きだ。彼の定期的な立ち位置確認の真っ只中に発表されたに違いない本作だが、当時年齢的、アーチスト的にもかなりシビアな時期にあっただろうボウイの書いた曲にはそれぞれに陰影があり素晴らしい。ソロ〜バンドと全く別物ではなくボウイ的には一本筋が通っている。歌唱も声のバリエーションで聴かせており、バックアップする演奏も手堅い。リーヴスはかなり面白い事をやっていて、やはり彼はティン・マシーンでのプレイが一番良い。この真面目さと男臭さが一般には受けなかったが、しかしこれも小規模ツアーしかやらなかった彼らの意図でもあるだろう。当時のシーンではマージナルな印象だったが、現在聴くとそれが不思議なくらいのクオリティーを持った作品だ。惜しむらくはジャケット。自身がアートも手がけるボウイが何故?と思う程最低なこれが一番の敗因だと思う。(1stの鋤田さんとは何万光年のズレ。)ちなみにセイルス兄弟はコメディアンのスーピー・セイルスの子息でバディ・リッチの世話で芸能界に入ったとか。漆黒のベルリン時代、イギー&ジギーを支えたのが彼らであると思うとそれも中々に感慨深いものがある。