死体の指にダイヤ―京都殺人案内シリーズ (光文社文庫)
最近の推理小説は 結構実際に起こった事件をモチーフにしているものが多い中
この当時はまだそういった傾向になかったように思う。
と、いうのもモチーフにするような悪質 豹変的な事件がまだ少なかったように思う、そんな時代の流れを少し感じた。
ダンボールにドライアイスを詰めこんだ一糸まとわぬ美しい女性の死体には、指に大粒のブルーダイアがはめられていた。。。
幕開けには十分なインパクトのある死体発見。
被害者の女性はうっすらと微笑みさえ浮かべているように見える。謎である。
「むっつり」として見える音川警部の初登場の作品。
警部はむっつりではなく、洞察力には物凄く長けた優秀な警部。
その音川警部には「洋子」という新聞雑誌などの記者をする娘がいる。
部下の土井刑事は親子くらい離れているが
情熱的で音川警部も一目起き彼の刑事としての活躍・成長を心から期待している。
事件は連続殺人となって意外な展開をしていく。
事件にかかわっていく様々な人間模様、人間のエゴや醜さも描かれていますが。
後半は法廷シーンが加わりいかに真相に迫っていくか・・・
最終局面は意外な人の証言により
事件の全貌を明確にしアリバイは音を立てて崩れていく。
親子の愛を越えて犯人の母親老婆の痛々しい心に涙ぐんでしまいました。
人間は逆境にたたされた時正確な判断を理性を忘れずに歩むことが出来るのか・・・
理性を失ってしまった欲情と憎しみの果てには
悲しい事件に発展しまうのであるのか・・・
だからといって殺人が肯定されることはありえない。
事件に係わる多くのキャラクターなどの個性が様々でこれがかえって
この作品を奥深く浮き上がらせているように思える。