図解 よくわかる大人の発達障害
発達障害は、比較的新しい概念で研究途上にあります。(アスペルガー症候群の診断が日本でできるようになったのも1980年代後半から!)
しかも、発達障害の研究は、子供を対象としてスタートしたため、大人の発達障害へのフォーカスはいまだ遅れています。
特に、35歳以上の中年の発達障害者は、これまでの人生の中で理解も支援も受けられず、人生において数多く傷ついてきており、早急な問題解決が望まれています。(成人ひきこもりの約30〜40%は、発達障害が原因であるという説もあり。)
最近になってようやく、大人の発達障害についての本が出版され始めましたが、本書は、類書の中では、最も丁寧な構成と内容になっています。
発達障害に付随しやすい感覚異常や運動障害、DSM診断基準、WAISプロフィールの読み方など、非常に内容が充実しています。
中でも、本書で着目すべき点は、ソーシャルスキルを身に着け、職場のスムーズな人間関係構築のアドバイスが充実している点にあります。
発達障害の本はよく、「理解してあげましょう」「支援してあげましょう」という論調で書かれていますが、この厳しいご時世、皆自分のことで手一杯で、職場における発達障害者の十分な理解や支援を期待することは、難しい状況にあるのが現状かもしれません。
そこで本書では、発達障害者の側から定型発達者へ歩み寄り、仕事を円滑に進めることのできるようなソーシャルスキルを訓練すべしと言う、新しい観点から書かれており、この点は特筆に値します。
現在の調査によると、広汎性発達障害(PDD)は100人に1人、ADD/ADHDは100人に3人の割合で存在すると言われており、40人のクラスがあれば、1人は発達障害者がいるくらいの割合になります。
なので、きっと私達の職場にも発達障害者(未診断者)がいるのかもしれません。
本書は、発達障害の当事者のみならず、定型発達者(発達障害者と共に働く方々)にも、是非読んでいただきたい良書です。
発達障害チェックシートできました―がっこうのまいにちをゆらす・ずらす・つくる
後半部分が特に素晴らしいと私は思いました。
チェックシート自体も良いと思うが、それよりも後半に真理が書いてあると思う。
発達「障害」と言われるが、椅子に座って一斉授業という環境であるから、その行動が「障害」として振り分けられるのではないか。普通ってなんだ?障害ってなんだ?差別ってなんだ?
発達障害に対する理解を飛躍的に進めてくれた一冊です。