電車男 (新潮文庫)
ハードカバーで話題があった頃に読みましたが、文庫化されてお手軽に外に持ち運べて、お値段もお手ごろなので、「電車男って、あったなあ、まだ読んでないけど読んでみるか」という方にはよいかもしれません。
ただ、電車の中でブックカバー付けずに読むのにはハズかしい本ではありますね。
もっとも、文庫本にブックカバー付けずに読むか読まないか、家で読むか電車などの移動中に読むかは個人の自由ですが、、、
問題のこの小説。
2chという某名性の高い掲示板で流行した物語ですが、テレビドラマを見る前に読んでいたなら楽しめるかもしれません。
初めて読んだ時には、素直に楽しめました。
ある日、電車に乗ったオタクが電車内で騒ぐ酔っ払いを制圧する。
制圧というのはおおげさですが、酔っ払いに立ち向かっていく。
後日、お礼としてある女性から、エルメスのティーカップが送られてくる。
そのエルメスのティーカップから、その女性に「エルメス」というニックネームがつく。
オタクは恋愛などしたことがないので、パソコンのネット(掲示板)を駆使し、なんとかエルメスに近づこうとする。
いわゆる、今では流行したオタク文化の申し子というべき青年と、ありえないくらい純粋な女性との恋愛物語。
原作を読んだ後の読後感は素直に楽しかった、と感動もしましたが、某掲示板で流れた批判やこの物語に対する批判を読んで、「ちょっと待てよ」とも思ってしまうのが読後感の感想。
冷静に考えると、ちょっと待てよ、というような設定というか物語の進行に疑問を持ってしまいます。
この世知辛い世の中、そんな甘っちょろい話があるのか?
いや、あっていいのか?
この物語はノンフィクションであるという説も流れていますが、本当にノンフィクションなのか?
なんとなく、「やらせ」というか「作られた物語」という疑問を持ってしまうのも、読後感の感想です。
テレビドラマや予備知識がなく、素直にこの物語を楽しめる方にはオススメな小説ではあるのですが、、、
電車男 オリジナル・サウンドトラック
初めて、映画を映画館で2回見た作品がこの電車男です。
このサントラを聴きながらパンフレットを見ると、今でも鮮明に画面が思い出されます。
エルメスって、こんな感じだよなあとか。
気持ちたちがどきどきします。
繰り返し、電車男の感動を味わいたいひとにはぴったりだと思います。
電車男
これは新しい読み物です。掲示板を編集すれば立派なドキュメンタリ
ー風の読み物が出来上がるということを示してくれました。活気的な読
み物と思います。
電車男に群がるギャラリーたちの反応が実に楽しい。AA(アスキーア
ート)と呼ばれる絵文字は、慣れてくると妙に壷にはまった感情表現を
見せてくれます。クライマックスの盛り上がりは普通の小説では絶対に
出せない雰囲気を作っています。これは文字媒体の新しい形です。小林
よしのりの『ゴー宣』の手法に近いと思いますが、あの盛り上がりを複
数の人間が無意識に協力して作り出すというのがすごいと感じました。
オタクたちのなんとも言えない一体感がたまりません。
もちろん、電車男の恋愛話はありきたりで、それ自体に面白みはあり
ません。不自然なところも多いです。しかし、この話のポイントは、電
車男の恋愛話を聞くためにPCの前にじっと何時間も待ち続ける「毒男」
の気分になって盛り上がるというところにあるわけで、そこの感情移入
が楽しいのです。決して読者自身が電車男の恋愛を自分の経験から評価
するのではなく、うぶな男たちが興奮しているさまを、彼らの目線から
眺めて、それでいっしょになって「キタ~」とか言いながらドキドキす
る、というところがいいわけです。
これはある種、サッカーかなんかの試合を、実況中継によって興奮を
高めるのに似ています。試合だけを独りテレビで見ていてもそんなに面
白くないけど、アナウンサーと解説者が試合の動きを追いながら大声出
して盛り上がれば、それにつられて見ているほうも引き込まれるという
ことはよくあるはずです。この感覚に近いです。
そういう観点からすると、ひとつだけいらないと思うのは、ところど
ころにはさまれる、囲みの「ト書き」のような解説です。これは実況の
実況をしているような野暮な感じがあります。純粋に掲示板の文章だけ
で構成したほうがよかったのではないでしょうか。こうした囲みを書い
たのも「ヲタ」なんでしょうか。ところどころ、正直しらけた部分もあ
ります。その囲みを書いているおまいは誰なんだと。
ま、それはすっ飛ばして読めばいいわけで。とにかくこの新しい読み
物を旬なうちに味わってみてはいかがでしょうか。楽しいですよ。
電車男 スペシャル・エディション [DVD]
邦画はいつもはあまり見ません。
でも久しぶりに見て、素直に主人公に感情移入できました。
2chの原作を映画化、と聞いたときには、正直いかにもイロモノや流行り物企画って感じでまたか・・・と思いました。ところが色々な人の感想を見てみるとコレがかなりの好感触。でもへそ曲がりの僕はいいという評判を聞いても半信半疑だったのですが、いやこれは見てよかった。電車男役の山田孝之くんはほんとにこんな人なのでは? と思わせるほど、アキバ系オタクになりきってました。自分はオタクだから(多分人から嫌われているという負の部分)と言う自分で作った殻に閉じこもっていた冒頭から、エルメスとであって少しずつ自分に自信を持って変わっていくところ、でも純粋な部分はずぅっと持ち続けている感じが、すごく伝わってきました。自然に応援していた。
エルメス役の中谷美紀さんも、しっとりとした大人の女性を上手く表現していた。生まれながらのお嬢様って感じが良く出ていた。外見に関係なく受け入れてくれるところなどは、世の男性の理想かな。そして自分の意思はしっかり持ちながら、世俗にまみれていない上品な感じが良かった。