岬
真島昌利の手によるこの一曲は、ロンドンブーツファンよりむしろ
ハイロウズのファンの心を揺さぶる作品である。
僕と君は岬へ行く
僕と君は証明する
この必殺の一行には泣く。
泣くと同時にそのストレートさに驚く。
そこには真島昌利の世界観が、あまりにストレートに表現されているのだ。
どこか遠くの方で 雷が鳴ってる
大粒の雨が ドシャ降りの気配
洗たくモノは 干してきたまま
窓は閉めたっけ? まぁいいか
何か悪い事が起きそうな、わずかな不安が溶ける日々。
いつも後ろ髪をひっぱる、そんな曇りのち雨の日常をいかに振り切るか。
「青春」の路線を継ぐ疾走感あふれるサウンドと最少の言葉で綴られるのはそんなテーマだ。
そして「岬」とは何か? 何を「証明」するのか?
若い芸人コンビのイメージを借りて、マーシーはある理想を描こうとしていたように思う。
ここではないどこかを目指すこと。
その場所では日常の負債の全てが反転するのではないかという夢。
そして、そこを目指して走ること自体を、自分たちのあるべき姿として掲げること。
それは「TRAIN-TRAIN」に歌われた世界観と酷似してはいないか。
マーシーがロックに託した希望と理想が、そこにはある。
しかし。
このストレートな歌を自分自身で歌う場所には、真島昌利はいないのかもしれない。
勢いだけはあるロンドンブーツの歌声を聞きながら、そんな事も思った。