かけおちる
読後感が気持ちいい、久しぶりにやられたという感じでしょうか。この時代の女性が持つ夫へのひたむきな愛の表現。うちのかみさんに望むべくもございませんが、爪の垢でも煎じて飲ませたい・・と、これを言ったら「あんたにこそ飲ませたい」とつっこまれそうですが・・。興産掛というはじめて知ったお役目といい、鮭や蚕のお話、そして迫力ある立ち会いなど、なかなか読者を放しません。国(藩)のために私財を投じても信じる道を行く、現在の役人にもここまでとはいいませんが、少しは見習ってもらいたい。彼らのような先達がいたからこそ今の日本があるのだと、あらためて納得した次第です。
三毛猫ホームズの駈落ち (角川文庫 (5946))
片岡家の息子と山波家の娘が駆け落ちした兄弟をめぐる悲しい話し。しかも刑事である片山と晴美はたまたま同じ名前ということで両家の財産騒動に巻き込まれていく。義太郎と晴美を見守っていた倉持医師、片岡の秀二郎の恋人田所久子等が両家と多からず少なからず関係してきます。