PLUTO (プルートウ) 全8巻完結セット (ビッグコミックス)
読む価値ありという点では5つ星をつけたいところですが、第8巻だけが異質なんですよね。というか第8巻だけが劇画版鉄腕アトムで、あとの第1−7巻の方が異質と言う解釈も成り立ちます。
かつての手塚治虫氏のテーマ設定は同時代的には卓越しておりました。その時代には、米ソが世界を破滅させるに充分な数のICBMをそれぞれ携えて各地で冷戦を戦っておりましたし、国内では企業エゴによる公害、薬害の話が日常茶飯事のニュースでした。その時代には「憎しみからは何も産まれない」、あるいはロボットに仮託して「生命や感情の尊さ」を語ることには強い説得力があったと思います。
でも我々はその時代を既に通り過ぎ、社会はより複雑化しています。「感情を持つロボットは人間と等しい」なんてことは、浦沢氏は7巻まででもう「前提」として取り扱っていたと思います。また自分がロボットだとか記憶が偽だとか言うテーマも、P.K.ディック作品の大衆化以降、それ単独ではありふれた仕掛けになってしまっています。一方、第1−7巻で語られている「エスニシティー」、「被差別と政治」、「悪意の連鎖」、「日常に潜むテロ」の絡み合いは、「現代の我々」に強く訴求するテーマであり、それぞれのエピソードはまさに鳥肌ものでした。もう乱暴なことを言えば、伏線の収拾や手塚作品のオマージュは完全に放り出して、第8巻では「差別と政治、そしてテロ」をめぐる「社会学的相克」を謎のキャラクター順繰りに無限に繰り広げて欲しかった、とか、そんな思いさえいたします。凄く惜しいです。
BILLY BAT(10) (モーニング KC)
たまたま浦沢氏の漫画を手に取って読みだしたら10巻まで読んでしまった。
日米の歴史を漫画を交えてうまく描き出しています。
赤狩りを交えてのオズワルドの登場、KKKで黒人火あぶりの次は、黄禍論で日本人連続殺人事件と白人至上主義、資本主義経済万歳のアメリカを描いていておもしろい(といっては当時の人に申し訳ないが)。
アメリカは何でもNo1でなくてはならないという大義名分の下、なんでもありの
アメリカを漫画でうまく表現されていてさすがと思いました。
1924年のシシーとゲイリー、そして師匠はどういう結末となるのか?
次巻に期待である。
MONSTER 全18巻 完結コミックセット(ビッグコミックス)
これは全巻セットでしょう。読まないで、漫画は語れませんよ(;^_^A いやあ、凄い。緻密。ラストなんか衝撃でっせ! ああ、すいません、ヨハン好きです。彼を闇から救いたいと思っちゃう。ごめんなさい(;_;)
プロフェッショナル 仕事の流儀 漫画家 浦沢直樹の仕事心のままに、荒野を行け [DVD]
漫画家が漫画描いてるとこ見たら、鼻血ダダ漏れって人におススメ。 作業場とか、使ってる道具とか、ウキウキが止まりません。 ほいでコレ観るまでは『こんなオモロイ漫画描けるヤツ、イコール、キモい』て決めてかかってたけど、いいえ、 浦沢直樹カッコイィ。上司にしたいナンバーワン。仕事の出来る男のトークを欲してる人におススメ。
半世紀の男~Limited Edition Special Box(初回限定盤)
音楽趣味の漫画家が、作品が売れたお陰でCDが出せる…と言う側面はあると思いますが、(実際それはあると思うし)「20世紀少年」11巻初版に付いていたCD、ケンヂ作「ボブレノン」がいたく気に入っていたので購入しました。声質、歌いかた、歌詞の面など、漫画家でビートルズマニアの、ますむらひろしさんと共通する感じがあります。多少くもった声でプロの歌手とは違うのですが、魂はきっちり入っている。色々な音楽を聴いて、今それが噴き出している。そんな感じ。一曲目の「洪水の前」なんてかなりお気に入りです。 ラスト曲ボブレノンのバンドバージョン。エンディングの白井'ムーンライダーズ!良明氏の斜め45゜あたりからやって来るギターソロはたまらんです。 20世紀少年ファンなら、ケンヂのアルバムとしても聴けるかも。
浦沢さんにはあと二枚位、アルバム作って、アコギがしゃがしゃかき鳴らしながら全国ツアーやってもらいたいです。