Original Album Series
72年、「名前のない馬」でアルバム、シングルともに全米1位を獲得するという最高の船出をしたアメリカ初期5作品をそのままパッケージしたもの。その後もHで始まるアルバムタイトルにこだわり作品を作ってきたが、デビュー作の印象が強すぎたのか、今となってはやや印象が薄い。
彼らの起死回生の作品となったのが75年の「ハート」。「ひなぎくのジェーン」で始まるアルバムは成功を予感させた。そして決定打となったのが久々の全米ナンバー1シングルとなった「金色の髪の少女」。イントロから心がウキウキするこの曲のシングルを買い求め、それこそ擦り切れるほど聴いた。アルバムはウィングスの「ビーナス・アンド・マース」などの強敵と競合したため最高4位に終わったが、十分素晴らしかった。
この成功は更なる奇跡を生む。この5作からチョイスした「アメリカの歴史」は選曲と曲順の妙により編集盤としては異例のビッグ・セールスを記録し、しかもロング・セラーを記録した。この母体となる本作は、アメリカの作品を全く所持していない人には安価だしお薦めする。僕は5作中3作を所持しているので、正直悩んでいるが、結局買い求めてしまいそうな予感がしている。
The China Choice
Kindle Paperwhite3G による洋書完読の記念すべき第一冊。
筆者によれば、勃興する中国を前に、米国には三つの選択肢があるという。
まず、現状維持。しかし中国の経済力はいずれ米国を超え、世界一の経済大国になる。もちろん、技術力や文化、政治体制の優位性は揺るがないが、しかし中国の生産人口は米国の四倍あり、一人あたりの生産性が米国の四分の一を超えるだけで、GDPは米国を凌駕してしまう。しかも軍事力を増強している。この状況下で、なおも米国がアジアでのPrimacy role 中心的役割を維持しようとすれば中国との衝突、戦争は避けられない。この場合、通常戦力に秀でた米国は、中国の航空基地、ミサイル基地を破壊できるだろうが、そうなると中国は核で対抗する。グアム島への報復核攻撃が想定される。しかし一方で、米国は、自国の大都市への核報復を恐れて核兵器の使用は躊躇する。中国にとって、アジアは核心的利益であり、核使用に伴う多少の犠牲は厭わないが、米国にとってアジアには自国を核攻撃のリスクにさらしても守り抜くべき利益はない。冷戦時に米国は、西ヨーロッパを死活的利益として、報復を覚悟した核戦略をソビエトに対して講じた。ソビエトによる核攻撃を受けても西ヨーロッパは守るという意志は強かった。しかし、アジアは違う。しかも、ソビエトと違って、その経済は、米国経済と相互依存している。結局、核使用の危険性がある限り、米国は、軍事力でもって中国と対峙できない。アジア諸国も、中国に支配されることは拒んでも、中国との決定的な対立は望まない。一方、日本と米国では、対中政策をめぐり利益が相反する局面が生じるかもしれない。
第二の選択は、アジアから撤退することだが、これは、米国やアジア諸国の国益に反する。
ではどうすれば良いか。
ここで、筆者は、歴史上、第一次大戦前のヨーロッパは、The Concert of Europe(ヨーロッパ協調体制)と呼ばれる列強の勢力均衡に基づく平和が百年間に渡って維持されてきたと指摘し、現代アジアでも、このような大国による国際協調体制 A Concert of Asia が必要と説く。具体的には、アジアの大国である中国、米国、インド、日本の四カ国による協調体制を構築する。米国にとって、これはアジアにおける絶対的優位性を放棄し、中国を対等な国家として、アジアでの勢力拡大を容認することになるが、この体制のもとであれば、中国の行動を受け入れ可能な範囲で抑制することが出来る。アジアの大国による相互抑制だ。これは第二次大戦前のチェンバレンによる対ドイツ宥和政策とは違う。チェンバレンは、ドイツへのズデーデン地方の割譲を譲歩したが、その際、ポーランド侵攻に対する態度を明確にしなかった。ポーランド侵攻に対する英仏の対ドイツ宣戦布告は、ヒトラーの想定外であった。どこまでを許容するのかが明確でなかったために、ヒトラーの行動を抑制できなかったというのがミュンヘン会議の教訓だ。協調が問題なのではなく、中国の行動を抑制する限界点を明確にすれば良いという。
結局、米国には、中国とアジアの勢力分布を分け合う選択肢しか残らないというのが筆者の結論だ。
非常に現実主義的でドラスティックな国際関係論と思う。刊行以来、反響は大きく、反論も多い。例えば、TPPや集団的自衛権の確立によって、日米による対中抑止力を高めれば良いという批判や、19世紀型の協調体制づくりは古いという指摘もある。しかし、ホワイトの認識は、核戦力のもとでは、通常戦力によるいかなる抑止力も、「核攻撃の連鎖による相互破壊」を覚悟しない限り無意味であり、同時に、旧ソ連とは比較にならないほど、米国やアジアの経済は中国と相互依存関係にあり、封じ込めにも限界があるという極めて現代的なものだ。核戦略とグローバリゼーションを背景にすれば、協調路線しか選択の余地はないと云うのがホワイトの結論だ。
しかも、日米の戦略的利益は一致していない。対中宥和に傾きやすいのは米国の方なのだ。いずれにしろ、日本も、尖閣問題という個別事案にとらわれず、大局的な対中戦略を講じるべきだろう。
余談だが、kindle版のこの本の価格が私がダウンロードした時(959円)よりも値上がりしている。不思議だ。
History America's Greatest Hits (Rpkg)
長年記憶のどこかにあって爽やかな空気のような、押し付けがましさのない自然なサウンドのせいか、入手することなく済ませてきていましたが、ダウンロード販売という今すぐ聴けることが決め手となり今回ゲットしました。オリジナルのアナログLP版ではアルバムの全ての曲がクロスフェイドされていたのが印象的だった(スムーズな連続性が強調されていた)が、MP3では、各曲個別の販売もされているせいかそれはありません(パソコンの再生ソフトの設定によってクロスフェード可能です)が、CDはどうなのでしょう。心地よいテンポと軽薄ではない軽さを味わうことができました。