若者のすべて【HDニューマスター版】 [DVD]
ずっと以前に初見した時は、この映画の良さがわからなかった。
歳月を経て見直すと、南イタリアの大家族が家長を失った後、長男を頼って都会ミラノへ北上してくる状況が痛いほどよくわかった。
南イタリアの暮らしは農地改革後に与えられた荒涼とした土地だけ。食べ盛りの息子達ばかりの暮らしは貧しい。
南イタリア地方の家族、親子、兄弟の絆は、北イタリア地方に比べてものすごく強い。
母は、息子達がミラノで定職に就くこと、ボクシングで成功して豊かな暮らしをする夢にかけて村の生活を捨てた。
長男のフィアンセ、ジネッタ役のC・カルディナーレが美しい。
また、主役のロッコを演じたA・ドロンの美しさが切なすぎた。
やがて運命の女、ナディア(A・ジラルド)が、純朴な兄弟達の人生を狂わせる。
ナディア自身もクレモナから、ミラノに夢を求めてやってきたが、身を持ち崩した哀れな女。
ナディア役のA・ジラルドが、好演している。
ロッコの兄、シモーネが、ナディアに熱をあげてから、どんどん人生の歯車が狂っていく。
ロッコが、兵役を終えて再会したナディアに、「自分は故郷が恋しい」「君もかわいそうだ」と語る。
ナディアと心を通わせる、いいシーンだった。
成功したロッコがパーティーの晩に弟に語った「家の礎を築くためには、犠牲(いけにえ)が必要だ」
という台詞が印象的。
また、四男のチーロが、ロッコを聖人にたとえて「寛容」なだけでは、わが身を守れず人は救えないという言葉に心打たれた。
赦しや、寛容は、ある意味傲慢なのかもしれない。
ミラノの大聖堂の屋根の上で、ロッコとナディアが話すシーンがあり、ミラノの大聖堂はヴィスコンティ監督の直系の先祖ではないが、ミラノ公のヴィスコンティが建立したもの。
音楽はN・ロータ。
若者特有の純粋さ、潔癖感、残酷さ、人生の厳しさ、南北イタリアの経済格差、大都会の社会問題etc、あらゆる主題が詰まっている秀作だと思う。★4・5
若者のすべて [DVD]
イタリアの南部の田舎から北部の都市ミラノへ上京してきた家族の若い男たちに降りかかる運命のいたずらを名匠がぐいぐいと描きに描きつくす人生映画の傑作です。
美しい売春婦役アニー・ジラルド。そして彼女に魅了された次兄役レナート・サルバドーリと3男役のアラン・ドロンの因縁の恋と宿命の対決が見る者をくぎ付けにします。
己を振った女と弟が熱愛していると知ったサルバドーリが、ドロンの目の前でジラルドを強姦するシーン(脱がせたパンテイーを振りかざす!)や、大嫌いなはずのサルバドーリの強引な求愛に思いとはうらはらに身体が応じてしまう場面。
それとは対照的に、うぶなドロンの純情にほだされて堅気に戻ったジラルドが、生まれて初めての恋に身を焼かれ、2人でミラノの市電に乗る「映画史上もっとも美しい」数秒間。
ドロンから兄のために身を引くと告げられたジラルドが、絶望に駆られて走り去るドウモの屋根の大俯瞰。そして「死にたくない」と叫びながら川のほとりで死んでいくジラルドの哀れな姿……。
こうやって書き出していくだけで、それらの名場面が瞼の奥で次々に甦ってくるようです。後年の重厚長大なヴィスコンティやドロンから喪われた、映画の青春時代の匂い立つような若々しさがこの1960年製造のモノクロフィルムには流れているようです。
若者のすべて
フジファブリックには珍しい正統派バラード
アレンジも落ち着いていていい
特に今まではキーボード(ピアノ)が目立ちすぎる曲が度々あったので、今回の曲は耳障りが良かったです
(まあキーボードあってこそのフジだとは思いますけど)
歌詞の内容、そして情緒溢れる曲調は金八先生の主題歌にピッタリだと思ったのは俺だけでしょうか?
若者のすべて―ひきこもり系VSじぶん探し系
著者はひきこもり治療の専門家なので本は嫌いではない。だがこの本の、若者は渋谷系と原宿系とに二極化している、という趣旨はわからない。
1.渋谷系とは自分探し系ともいい、社交性は高いが一人でいられず、携帯電話などで常に人と繋がりあっていないと気がすまない。容易に新興宗教や自己啓発セミナーなどにはまりやすい。
2.原宿系とはひきこもり系ともいい、社交性が低く人付き合いが苦手。一人でいることが平気であり、「ひきこもる」能力を持っている。新興宗教に入るというより自分が新興宗教の教祖になりたいぐらいのタイプ。
かつての区分1が外交的、2が内向的とはどう違うのか? 新しい定義をわざわざ持ち出す、その理由がはっきりと書かれていない。