II
You belong in rock'n'roll...素晴らしい。
冒頭から全盛期に劣らぬボウイ節に満ちた楽曲が続く。リズムもタイトで無駄なし。
敗因はもちろんハントセイルスの中途半端な歌が2曲入ったことである。
ボウイの曲だけにすれば引き締まったロックアルバムになったはずだ。
発表までに間があったりと何かもったいないアルバム。
ティン・マシーン(紙ジャケット仕様)
前作『ネヴァー・レット・ミー・ダウン』にてミュージシャンとしての限界を露呈してしまったボウイーが、自分のお気に入りのミュージシャンであるイギー・ポップやルー・リードの復活劇を目の当たりにし、ミュージシャンとしての評価を取り戻そうとした意欲作である、良く言えばだが。
ボウイーは1984年に『トゥナイト』でイギーの曲(厳密に言えばイギーとの共作)を多くカバーし、1986年には『ネバレミ』の(結果的に)サウンド構成の前哨であった『ブラー・ブラー・ブラー』をプロデュースしている。佳曲が揃ったこの作品はその後のイギー自身の復活というメリットをもたらしたが、イギー自身がポップなサウンドに納得せず、1988年の次作『インスティンクト』ではストゥージス時代を彷彿とさせるパンキッシュなサウンド展開でファンを喜ばせた。
またルー・リードも長い低迷期から一転、シビアでソリッドな内容ながらグラミー賞最優秀作品賞まで受賞した名盤『ニューヨーク』を1989年に発表している。
そんな中、特にイギーの『インスティンクト』の影響をかなり受けて作られたのがこの作品である。とにかくシンプルで贅肉をそぎ落としたサウンド、これは『インスティンクト』や『ニューヨーク』に共通している。
但しミュージシャンとしての意欲は取り戻せているが、楽曲のクオリティーという面では能力的な部分はまだ低いままであった。