7月4日に生まれて
数々のフィルムスコアを手掛け、今や映画音楽の代名詞的存在…大御所中の大御所と云えばこの人の名前が先ず浮かぶであろう、J・ウィリアムズ氏の名作スコアです。サントラなので、他の楽曲(劇中に使用されるポピュラーソング等)も当然含まれるんですが、やはり中心は、この人の切なくも美しいスコアでしょう。この辺りの彼のスコアから顕著に顕れる特徴として、ソリストを前面にフューチュアしてのスコアが増えてきます…あの美しいトランペットの旋律を奏でるは、元ボストン響の名手ティム・モリソン氏です(JFK《ジェフ・藤川・久保田とちゃいまっせ!!》やプライベート・ライアンのスコアのソリストもティム氏が担当してます)。トランペットといえば、派手派手なイメージが先行しがちですが、吹く人が吹くとこんなに繊細な音色を奏でることが出来るんですねぇ…トランペット好きな人も、そうでない人も、一度聴いてみてください。きっと心にダイレクトに響くこと請け合いです。こういうのって、コンポーザーとパフォーマーとの間に、ガッチリ意思疎通がなされてないと出来ない仕事ですよね?“その他”と一括りにしたポピュラー系統の楽曲も名の知れた曲ばかりなので、飽きないと思います。特に(これはカヴァーですが)♪“It's a hard lain comeing fall.(邦題;激しい雨が降る)”は、劇中の時代背景を如実に浮き彫りにすると同時に、映画にこめられた“反戦”のメッセージを上手く伝えるに効果覿面であったと云えるのではないでしょうか。ともあれ、全編丸ごと美味しい1枚です。
7月4日に生まれて [DVD]
オリバー・ストーン映画の最高傑作と個人的には思ってます。ロニーを演じたトムクルーズは惜しくもオスカーを逃してます。ストーンは「まあこの後トムがやったのがデイズ・オブ・サンダーだったからね~(結局ハリウッド的に俗っぽいってこと)」とあっさり片付けてますけど、無垢で直情なロニー、狂いそうに悩むロニー、何度みてもレインマンと並びトム・クルーズ最高の演技と思ってしまいます。
車椅子で帰り母と再会するシーン、誤射で死なせた下級兵の妻・父母への告白など何回でも胸に迫るシーン。
一度は観ていただきたい。それだけです。
コレクション
数々映画音楽を書いたジョン・ウィリアムズのボストン・ポップス・オーケストラ19代常任指揮者時代(1980-1995)にソニークラシカルでレコーディングした音源を集めたベスト・アルバム盤。
収録曲もさまざま収録されていて便利なベスト・アルバム盤です。まずジョン・ウィリアムズの自作映画音楽とオリンピックファンファーレ。自作曲以外はブロードウェイミュージカル曲を集めた「ゴッタ・ダンス―ジェローム・ロビンスを讃えて」やアメリカの大クラシック作曲家ガーシュウィンの「ストライク・アップ・ザ・バンド」。アメリカのジャズピアニスト、作曲家のデューク・エリントンの「スイングしなけりゃ意味ないね」と「ソフィスティケーテッド・レディ」とかフランク・シナトラの「いそしぎ」。名指揮者としても知られる作曲家レナード・バーンスタインの「キャンディード」などが豪華なオーケストレーションと演奏で収録されています。中でもウィリアムズの自作曲ですが「E.T.~地上の冒険」は演奏が難しい曲とされているらしいですがボストン・ポップスの演奏は安心して聴けるすばらしい演奏でした。全トラックすばらしい演奏と適切な選曲で良いアルバムでした。ですので星五つです。
7月4日に生まれて スペシャルエディション [DVD]
アメリカの中産階級が没落しはじめた時代背景の中、ロンは志願して兵士になった。周囲の地域社会と家庭の中では、物質主義の代わりに、
名誉というプライドを重んじられて育ってきたからだ。一途な若者にとって、独立宣言の理想と社会的地位の向上という野心を満たせることは何と素晴らしいことだろう。然し、その全てはプロパガンダであり、偽善だった。彼は、それまで当たり前の様に享受し、愛していた健康な肉体と、家族そして友人を失っていく過程で、そのことに気付いていく。
戦争に生き残ってしまった人間にとっての「戦後」はいかに長く感じられるものなのかーこれは、国と人種を問わないと思う。この映画はある意味で「プラトーン」の続編であると同時に、(モデルがあるにしても)半分はオリバーストーンの自伝にもなっている。戦争を起こす人間とシステムへの監督の関心は、その後「JFK」へと向かうことになるが、その文脈の前段として(こんな時代だからこそ)是非見ておきたい。
7月4日に生まれて (集英社文庫)
ってGLAY※が歌ってたけど、なんかそんな気分。冒頭の十数ページは圧巻。残酷な短文、リアル描写がグサグサと、い痛ぇ〜よ。知らんかった。「弾が貫通した」って兵士が知るのは、太もも裏側から流血した瞬間なんだ。
どんな気分なんだろ。死体を目の前に「泣き出したかったけど、もう出てこなかった」気分って。平和が当り前の日本人には、想像を絶するシーンの連続で。でも残酷一辺倒だけでなく。ニクソンに詰め寄る反戦家の一面や、セピア色の思い出との対比もあり、ラストは切な過ぎる。
けして反戦活動が腰抜けだとは思わない。過去の自分を否定してなお主張し続けたコビックこそ勇者だ。
PS●62年7月3日生まれのトムクルーズの熱演は、『フォレストガンプ』など後の戦争映画にも影響を与えた
●日本人と愛国心→『五分後の世界』村上
●ごめんタクロー、自分の言葉でレビュれんかった。宣伝しとくね。
※97年ベスト盤♪『REVIEW 〜BEST OF GLAY〜』収録