肉体の門 [DVD]
原作は田村泰次郎のベストセラー『肉体の門』。五社英雄監督による再映画化ということで話題になりました。戦後の混乱と餓えのなか「パンパン」と呼ばれた女性たちの姿をかたせ梨乃、加納みゆき、名取裕子、山咲千里、西川峰子といった女優陣に渡瀬恒彦、根津甚八ら男優を絡ませて描いていきます。廃墟同然の塒に、今にも落ちそうな大きな爆弾がぶら下がっているとの設定に新しさはあるものの、現代に訴えかけるものがあるとは言えません。何故、昭和63年に再映画化しなければならなかったのか、作品は何も語ってはくれないのですー。
かたせ梨乃
金田石城作の着物を着たかたせ梨乃写真集。
ヌードとかは皆無。着物を見せるのがメインの写真集だからでしょうか。着物の柄は、黒、グレー、白、金のみ
のモノトーン柄で、墨の世界をイメージしてるとか。けどデザイン自体は、かたせさんが着ることを考えてかなりダ
イナミックなものになってます。
そういう着物写真集ではあっても、一番いいショットは髪の毛を赤のメッシュにしたかたせさんが黒い着物を
着、しかもブーツを履いていて太腿が着物の裾から見えるやつです(これが目当てで買ったようなもんです)。
身も心も [DVD]
97年に発表されたシナリオライター荒井晴彦の監督処女作。その年の映芸やキネ旬のベストテンにも選出されている。一応原作はあるが、自身の体験が過分に表れた、失われた時代のある思いを引きずり続ける男女の“愛”の震動と疼きが感じられる傑作だ。
男とその恋人を奪った男、女とその恋人を奪った女。冒頭、その場に不在の親友に成り代わっての恋愛劇シュミレーションが始まり、まるで観念的な舞台劇の様相。どこまで自身でどこからが他者なのか、スリリングながら、実にまどろっこしいし、ややこしいのだけれど、ここまでしないと心情が吐露できないやるせなさと痛切さが身につまされる。
細かなカット割はせず、ローアングルに俯瞰ショット、ここぞと言う場面では長廻しが駆使され、抑制されているが印象的なショットが多い。
身も心も、に続くフレーズは、果てしない愛欲の渦流か、それとも、今も変わらぬ志しか。石川セリや高田渡が流れ、エンドロールには、まるであの時代の鎮魂歌の如く美しいギターの「インター」が響く。そして、奥田と永島の行きつけのBARにさりげなく貼られているゴダールの「ワン・プラス・ワン」と若松の「赤軍・PFLP/世界戦争宣言」のポスター。
R−18指定。柄本明と永島瑛子が素晴らしい。
荒井さん、もう映画は撮らないのですか?