朱刃〔風烈廻り与力・青柳剣一郎〕 (祥伝社文庫)
朱雀太郎と名乗る凶悪な盗賊団が大店を襲い殺人、火付けを繰り返します。
奉行所と火盗改の必死の探索を尻目に盗賊は次々に犯行を重ねます。
朱雀秀太郎と名乗った今は引退し床に臥せっている盗賊の親分は、
朱雀太郎なる盗賊団を探らせるために右腕の七兵衛を江戸へ向かわせます。
一方、一向に解決しない凶悪事件に業を煮やした幕閣は、青柳剣一郎に挑戦的な旗本を新たに火盗改に任命。
奉行所、二つの火盗改、朱雀秀太郎の右腕七兵衛が朱雀太郎一味を追います。
功を焦る火盗改と町方の面目を賭けての探索は二点三点し盗賊団の姿をなかなか絞ることが出来ません。
一味の一人である御家人を捕えた火盗改は拷問と弱味に着け込み自白を迫りますが上手く進みません。
しかし、青柳剣一郎はその御家人の優しい心を大切にすることで自供を引出します。
青柳剣一郎の人を大切にしながらの丁寧な探索がやがて盗賊一味を追い詰めて行きます。
敏腕与力も相変わらず娘「るい」の縁談に、おどおどしながら市井を歩いております。
縁談―独り身同心1 (ハルキ文庫 こ 6-21 時代小説文庫 独り身同心 1)
小杉健治といえば「三人佐平次捕物帳」と「風烈廻り与力・青柳剣一郎」。
特に小生は後者が好きで新刊が出るのを楽しみにしておりますが、同じ作者の新シリーズと知り購入しました。
主人公は三人佐平次の定町廻り同心の井原伊十郎、歳も30を過ぎた独り者、剣も強く切れ者で男前、女好きが欠点といえば欠点。
その伊十郎に上司の与力から縁談が持ち込まれる。
絶世の美女との触れ込みながら出戻りの旗本の娘と聞いて最初は気乗りしていなかったが、
縁談相手の百合を一目見てその気になってしまうが、百合は2度も出戻っており何かありそうな気配。
一方、盗賊「ほたる火」と出くわし、その胸を触って女と知って驚愕。
まぁ、そのほたる火なる盗賊は音曲の師匠で妖艶な「おふじ」であることは容易に想像可能。
物語は小杉健治らしい貧しい男女が織りなす愛情の縺れやすれ違いに端を発する事件の探索と解決に、
いわくあり気な百合とおふじ(多分盗賊ほたる火)という2人の美女を絡めたもので真新しいとは言えないでしょう。
ほたる火であるおふじが伊十郎の探索にヒントを与えながらの二人の駆け引きに百合がどう絡んでいくかですかね?
冒頭の2作品に比べると中身は今一つかと思いますが2巻目以降に期待です。