BECKプロデュース。
なんとも形容しがたいですね。触れ込みではエレクトリックなんですが、未来や洗練よりも過去や野暮を感じます。メロウなんですが、エレクトリックが混じります。おそらく時代の先端から外れたそのエレクトリックさが野暮ったく、オーガニックさを残し、懐かしい。ファンキーであるとは、そういうことなんでしょう。2はトム・ウェイツみたいですね。3は古い表現になりますが、ディスコのチーク・タイムで流れそうな曲ですね。7は単調さがわかりやすくていいです。でも、もちろん聴いていて不快ではありません。
自分の力量の限界を悟り、ソウル、ファンクの正統派との真っ向勝負を避け、現在の音楽業界のすきま、すきまを狙っているさまには好感がもてます。
ボーナス・トラック以外の歌詞・対訳は、折り畳まれた紙に印刷されています。ボーナス・トラックは、ひょっとするとベックが即興で作ったような曲なので、なくても買っていい、と思います。
主人公ティモシー・トレッドウェルが我々に何を訴えているのかを
考えさせられるドキュメンタリー映画です。アラスカブラウンベアー
(グリズリー)が多く生息しているアラスカ州カトマイ国立公園内で
命を賭けての撮影に挑んだわけだが、何度も彼は「危険」という言葉を
多用していることから、何時か自分も襲われるという覚悟は出来ていたと思うし、
襲われるまで撮り続けようとしていたみたいだ。
ただ、奇怪なのはアメリカの国立公園の野生動物に対しては、
これまでも十分な保護をしてきているはずで、逆に個体数が増えすぎている
野生動物が問題になっている国立公園もある。過去に人間によって、
野生動物の生息地が乱開発などによって絶滅した種もあることは事実であるが、
自然界のバランスを保つことが本当の保護になると思う。グリズリーだけを
保護すれば、彼らの食用が足りなくなり、人間が暮らしている地域まで立ち入る
こともあるだろう。
ティモシーのグリズリー保護への限りない情熱は私達に感動を与えたのは事実だが、
それ以上に残酷という衝撃も残こることで、とても複雑な気持ちにさせてくれた作品だった。
サンダンス映画祭での受賞をはじめ、多くの賞に輝いた作品だけに一見の価値はある。
ティモシーとエイミーのご冥福をお祈りしたい。
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