元々加納朋子さんのファンなのですが、今作はミステリーではないとのことで、やや不安がありました。
しかし開始数ページでその不安は払拭。「飛行クラブ」というつっこみ所満載の部活の存在から、個性的(すぎる)登場人物によって一気に読み勧められました。
加納さんの作品の中でも特に展開がはっきりとして飽きさせないお話なので、中学生ぐらいの方でも楽しんで読めると思います。
また、子供をとりまく問題に関連する描写の爽やかさにも好感が持てました。特に「他人の悪口は、あの子にとっては花束だ」という表現は、陰湿な友達関係に辟易していた私にとってとても腑に落ちました…(これだけではよくわからないと思いますが、詳しくは本の中で)
ただ一つ、残念だったのは これだけ個性的なキャラクターが集まっているのに、それぞれに対する描写が少ない事。物語を進めるのに必要不可欠な部分だけが集まっていて、それはそれで読みやすいと思うのですが、どうも読み終わった後に物足りなさが否めません。また、最後に盛り上がったのに急に終わってしまったような形がやや気になりました。
よって私は、これらの不満点を解消してくれる続編(主人公が二年生になった後)の話を強く希望します。殆ど設定だけだった樹絵里と中村先輩の今後、るなるなの家庭環境、エンゼ自身の描写など もっと見たかったものが尽きません。
残念だった点は以上で、物語の面白さ自体には全く支障はありません。とにかく楽しい物語が読みたい、爽やかな読後感を求めている方にはとてもおすすめです。
空を飛びたい中学生達の波瀾万丈な物語をどうぞ!
ミステリーランドから出版されている児童書なんですが…。大人が読んでも十分に楽しめます。★いじめっ子のレッテルを貼られてしまったシン。だが、それは大人の目から見てのもの。本当のシンは、ちょっと乱暴者だが頭の回転が早く優しいよね。★子供は、子供なりに小さな社会でいろんな経験をしている。それは、人に言える物とは限らない…。★忘れかけていた子供本来の姿を思い出させてくれる一冊です。★謎のパック少年の存在が、物語をぎゅっと締める役割を果たしていてとても良かったです。★子供達が、話す九州弁がとてもかわいらしいです^_^
殺伐とした世の中。目を覆いたくなるような事件が連日起こり、将来の先行きも不透明で不安な時勢。そしてストレス一杯の世界。
そんな中この本に納められている一つ一つのお話は、心にとても明るいものを残し、世の中すてたものじゃない、と実感させてくれるやさしさ満ち溢れる小品集。
表題のモノレールねこ。ブスな猫がつなぐ友情、そしてほのぼのとした結末。
パズルを通じて母と心を通わせる娘、できの悪いおじさんやとんでもない父親との交流、不思議な共同生活を通じ芽生える愛情と新たな関係、そしてザリガニの一生。
すべてちっちゃな宝箱に入れたいような、とても大切にしたい作品ばかりです。
心がほのぼの、そして幸せな気分になる小説でした。
作家であり妻であり母である著者の闘病記。淡々とした日記形式で、過度な演出が無い事で逆に強い印象を受けた。 前向きな著者の姿が辛い病との闘いに力を与え、全文に不思議な温かさと優しさを描き出す。この本に登場する家族や友人の優しさは、多分著者の優しさでもあるのだ。 闘病生活の苦しさをその優しさが包んでいるため、時に真実の姿が見えにくくなる。だが前向きな著者が所々日記の日にちを飛ばしていることに気づいたとき、文節に潜む意味が重く心に響いた。ぎりぎりの状況をまさに生きていたのだ。 著者は母でもあるのだが、子供の話はあまり描いていない。母親であるが故の苦しみは例え作家であっても言葉にする事ができなかったのではないかと思う。空白は強い思いでもある。数行の子供を描いた文節は、数少ない言葉で著者の一番の気持ちを表している。愛しいと。 病気は一つの節目を超えたそうだが、その生活にはまだまだ苦しみが存在しているようだ。少しでもその苦しみが和らぐ事を願ってやまない。
「ささらさや」の姉妹編だとは知っていましたが、こちらが先に手に入ったので読んでしまいました。 しかし、特に「ささらさや」を知らなくても十分楽しめます。 現に面白く読めました。 主人公の携帯に届いた謎のメールや、階段に現れた不思議な少女など、推理要素は登場しますが、推理小説というわけではありません。 親の夜逃げで高校進学をあきらめ、遠い親戚の家に預けられた少女の心が、少しずつ成長していく過程が深く描かれています。 また、彼女を預かった老婆の想いから、同じ町の幼稚園児の気持ちまで、見事に描写されています。 読み終わって、すっきり爽快! というわけにはいきませんでしたが、主人公の照代を包み込む暖かな空気が感じられて、読後感のいい作品でした。 特に、老婆やその友人たちを見て不快感や屈辱や嫉妬などが、別の彼らの一面を知って溶けていく様は、こちらも泣けてくるほどのものがありました。
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