施川ユウキが月刊誌「まんがライフオリジナル」で連載していたギャグ4コマ漫画の完結巻。3巻目になるが、ストーリー型でなく1話読み切り型であるためこの巻から読んでも問題ない。
ざっくりした印象を書くと、「子供特有の世界に対する見方・考え方を、大人が咀嚼し直すとこんなに面白くなる」といった感じ。
主人公の柊が、「黒脇」という表札を見て「この人は『クロワッサン』というアダ名で呼ばれているのか・・・?」と思いを巡らしているだけで6ページ描き切ってしまう箇所は圧巻。 次から次へと想像のつかなかったオチが続く。
少年が主人公のギャグ4コマ漫画ゆえに恋愛要素は強調されて描かれなかったが、最終回で一転する。いや、最終回においても恋愛要素は 隠喩的に描写される程度なのだけれど、絶妙な描写とモノローグにより「この漫画は実は恋愛漫画の一形態だったのだ」と思い直させられた。
作者の施川ユウキは『がんばれ酢めし疑獄!!』『サナギさん』などアクの強い作品を描くため好みが分かれたりもするが、 この『12月生まれの少年』は万人に薦められる作品だと思う。 ちなみに「まんがライフオリジナル」ではこの作品は完結したけども、施川の『すべての映画は、ながしかく』という 映画批評コラムはまだ続いている。この作品も映画化してほしいなあ。
1巻から1年以上待ったのに、もう完結。
施川ユウキの作品は何十回も読み直すものなので
もっと続いて欲しかったなー。
相変わらず日常のことをちょっと
違うところから見る視点と、
ファンシーな絵柄に合わない毒と、
癒しが渾然一体となっている。
この作品から、施川さんを知りました
次の2巻で完結します
若干ネタばれになってるかもしれませんが、以下レビューです
施川さんの視点、思考、閃きはおもしろい
そして、やさしい
誰もが考えるようなささやかな物事を、突き詰め、発展させ、ネタにまで昇華させる力には、毎回のように脱帽させられる
テグーとチポのやりとりは、とても丁寧に、やさしく描かれていて、素敵だった
作画も温かい
森の人たちは、みんな人間くさくって、愛おしい
もうすっかり忘れていた、子ども時代に感じていた、たくさんのことを、ふと思いだした
それは、とても幸せな時間だった
最終巻では、不意打ちのように「ひとつのおわり」がやってくる
テグーの成長していく姿と、友情のやさしさに、涙した
チポの言葉のたくさんは、心の深くにそっと刻まれて、残っていく
とても良い作品です
ぜひ
オチが面白い。日常の意外性。
オチのない日常の一コマにオチをつけているのが凄い。
作者の観察眼から張り巡らされる考察網はやはりとてつもない。
純度に記号化された登場人物の表情がとてもいい。
単純なようでかなり絶妙な表情付けがされている。
そして喜怒哀楽がはっきりしている。鬱とは無縁の開放的世界。
これはすぐそこにある晴れやかな彼岸の世界だ。
サチちゃんのほのぼのかわいさが光る。
個人的にはサナギさんより好きだ。何より萌える。
スヌーピーじゃなくていい。
彼に憧れるのもいいが、
こんな近くにもずくという素敵な犬がいる。
考えることをやめたらおしまいだ。
感情を閉ざせば終焉だ。
いつも通りの施川作品です。会話の間や演出も同じ感じで、安心感があります。この人の作品にハズレはありません。 また本作ではシナリオに毎回どんでん返しがあって読みごたえがありました。
あと主人公の花子さんのキャラ設定は近年稀にみる良質なものになってます。
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